
クラフトハインツ【KHC】が2020.Q4決算を発表しました。
『アクセスが集まる、グーグルアドセンス広告がクリックされる。』
という点を意識したら今なら宇宙産業銘柄を分析した方が良いかもしれませんが、宇宙産業の気になる企業は上場していない所が多いという事を以前ちょっと見た時に知ったので書く気にならないのです。
その代わり、多くの米国株投資家が興味のない老舗米国企業であり、僕の保有株の
クラフト・ハインツ【KHC】
が先週ぐらいだったかな?決算を発表してたのでとりあえずまとめておきます。
思い返せば昨年の1月末頃に同社株を買い始めました。
減損があったり、売上減少で低迷している最中です。「わりやす~」「高配当~」なんて思って買い始めましたが結果として
インカムゲイン、キャピタルゲインともにゲット!
みたいなラッキー展開になっています。(/・ω・)/
結果論ですが今のところ僕の資産形成に貢献してくれている不人気企業です、ありがとうございます。
2020.Q4決算の数字
2020年度の同社の業績はこのような感じでした。
【2020.Q4決算 通期】
売上高:261億ドル(+約4.8%)
営業利益:約21.3億ドル(▼約30%)
営業利益率:約8.1%(前年同期は約12.3%)
純利益:約3.6億円(▼約81%)
純利益率:約1.4%(前年同期は7.7%)
EPS:0.29ドル(前年同期は1.59ドル)
NonGAAP EPS:2.88ドル(前年同期は2.85ドル)
こうやってまとめてみると一瞬、ぎょっとしますよね。
純利益が8割減!!
がしかし、決算発表後の株価は上向きでした。なぜでしょうか。
その秘密は「NonGAAP EPS」が前年比で多少ながらもプラスになった部分にありそうです。
さて、中身を探っていく過程で通期の業績も今回の決算発表で確定したので各グラフを更新しながら見ていきます。
売上の成長率

売上については2019年度に約5%の減収となっていましたが、2020年度では盛り返してきました。
減収がこれから加速する可能性もあっただけに前年比で売上が成長したという点は意外でしたし、大きく安心できた点でもあります。
伸びた部分は主に米国市場でした。
2019年度は約178億ドルだった売上が2020年度は約192億ドルとなり、前年比+7.6%の伸び率を達成しました。
大きな要因はやはりコロナであり、外食できなくなった人達が自宅で調理をして食事をする機会が増えたため、同社の業績の改善に繋がりました。
という事は逆にコロナが収束し始めると同社の売上的にはマイナスに働く可能性が高そうです。
各利益の推移

次に利益面についてですが…。
まず上記のグラフとは異なりますが、各セグメントごとの調整後EBITDAはこのようになります。
・国外:約10.5億ドル(前期は約10.0億ドル/+5.4%)
・カナダ:約3.9億ドル(前期は約4.8億ドル/▲20.2%)
こちらを見ると営業利益が今期は21億ドルぐらいしかなかったのは違和感があります。
同じくグラフにはしてませんが粗利も今期は35%と前期の32.6%と比べても良い感じで改善をしています。
粗利部分までは前年比と比較しても非常に好調なのですが、会計上減益となった原因は営業費用の中にあります。
2019年度は営業費用が約50億ドルだったのに対し今期はなんと約70億となり
売上は5%ぐらいしか上がってないのに営業費用は4割も増加している事になります。
その理由は調整後EBITDAと大きな差異が出た事にもつながりますが
今期も約34億ドルの減損費用が発生しました。(前期は約19億ドルの減損)
(※23億ドルののれん減損&11億ドルの無形資産の減損)
ここ数年のクラフトハインツは減損が吹き荒れています。
2018年:約160億ドルの減損
2019年:約19億ドルの減損
2020年:約34億ドルの減損
3年間で約213億ドルもの資産を減損処理しました。
減損パーティ前夜の2017年には固定資産が1,129億ドルありましたが2020年時点では890億ドルまで減少し、ここ数年で「見えない資産(無形固定資産)」が帳簿上から約20%消滅した事になります。
そういうわけで、粗利までは良いのにそれ以降の利益が前年を大きく割っているのは「減損」が原因という事です。
よって、NonGAAP EPSではこの減損費用等が一時的費用と見なされて外されるので調整後の利益では前年を超えた、という事になります。
今回の決算ではそこを高評価され、株価が良い反応をしたのではないでしょうか。
さすがに2018年の巨額減損の時はインパクトあり過ぎて株価に大きな悪影響を与えましたね。
キャッシュフローの推移

(※FY15~FY18までは異常値)
ここからキャッシュフローについてですが、
先ほどの「減損」の影響はこっちの営業CFには、大きなプラス効果を与えます。
のれんおよび無形固定資産の減損分が営業CFではプラスになるので、PLで出た純利益に主に減価償却費、減損費用がプラスされ上記のような形になります。
先ほども書きましたが、元々、キャッシュとしては存在していないのれんや資産の評価額を調整したため会社のキャッシュには当たり前ですが動きはありません。
それによってキャッシュフローの推移はグラフのように順調です。
設備投資費用等も同社の場合、そこまで大きくなく比較的FCFも残るため高配当企業としては悪くありません。
今でこそ年間の配当支払いは20億ドルほどですが、減配前の2018年度では30億ドルを超える配当をだしていたため、その時は配当を維持するのが結構厳しい状況でしたね。
その時期と比較すると
2019年、2020年ともに積み上げられた長期債務の返済に毎年47~48億ドルほどあてても、一応キャッシュは残っているので業績が伸び悩んでいるからとそこまで神経質になるほどでもないかと思っています、個人的にはですが。
EPSと配当の関係

こっちはESP(NonGAAP EPSも)に対しての配当の規模感をグラフに現したものです。
だからと言って特に注目するような点もありませんが…。
まぁNonGAAP EPSを配当金が上回ってはいないので、まぁまぁ良いのではないでしょうか。
一般的な配当を出している企業であれば配当性向は30%ぐらいに抑えたい所ですが、既に成熟企業で高配当企業としての地位も固まっているので50%を超えていても許容範囲だと思っています。100%を超えなければ。
あとはできる事なら…
自社株買いでも良いし、もっと言えば利益の成長の方がありがたいけどEPSを少しずつ増やしていって、それと同じ規模感で配当も微増配していってくれたらいいな~と勝手に思ってます。笑
まとめ
2020年度の同社の業績はこのような感じで着地しました。
簡単にまとめると
2020年度も減損の影響で会計上は前年を大きく割ったけど、実質的(NonGAAPベース)ではコロナの巣ごもり需要が影響して比較的順調。今の規模の配当であれば財務面への圧迫度合いも高くないので更なる減配の可能性は今のところ少なそう。
よって!ぼくは引き続き同社株の保有を続けます。
とは言ってもPFの5%ぐらいしか持ってないけど。笑
あ、そういえば昨日も軟調だった米国株式市場で謎の爆上げ(と言っても5%ぐらい)と気合入ってるようでした。なにかあったんですかねぇ…(他人事)
※できる限り正確なデータ、情報を利用するように心掛けていますが、誤った内容・数字を利用している事があるかもしれません。記事についてはあくまで参考程度にお願いします。