
手術ロボットトップシェア企業 インテュイティヴ・サージカル【ISRG】
今回は手術ロボットの開発・製造を行っている米国企業
インテュイティヴ・サージカル【ISRG】
について調べてみました。
めちゃくちゃ読みにくい名前の会社ですね。
が投資先の企業としては非常に優秀で株価は過去10年間で約10倍程度に成長しました。
そんな手術ロボットを手掛ける同社の製品はどのようなものなのでしょうか?
主力製品『ダヴィンチ・システム』とは
同社は、
『ダ・ヴィンチ・サージカル・システム』
と呼ばれる手術支援ロボットを主力製品として業績を拡大してきました。
このロボットは、手術ロボットとしては世界トップシェアを誇っている看板製品です。
現在、第4世代のモデルまで開発が進められています。
が、今注目されているのはこのロボットに活用されている様々な特許が期限を迎えるため、これまで一人勝ちだった市場が大きく動く可能性があります。
グーグルやジョンソンエンドジョンソン等、資金力があって超有名な米国企業をはじめ世界中の医療ロボットの市場を巡る争いが加速していきそうです。
現時点では世界シェアの約7割を占める同社ですが、これまでのように安泰とは言えなそうな状況になってきています。
ですが、現在の業界でこれまで特許で守ってこれたおかげでトップシェアを既に獲得した事は今後も同社の強みです。
もちろんこれまでの歴史を見ても後発組に抜かれる事は過去も現在も頻繁に起きていますが、それでも世界シェアの7割を既に抱えている事は非常に重要です。
それに使用するのは機械好きのメカニックじゃなく本物の医者が利用するロボットなので、今まで使い馴染みのあるシステムの方が有利なのではないでしょうか。
ましてや命に係わるロボットでもあるので失敗は許されず、これまでの実績があるという点も非常にポイントです。
逆に、コスト面では顧客側から見ると管理に非常にコストがかかるのがマイナスだそうで、導入費用やランニングコストが大幅に削減されるようなモデルが他社から出てくるのは脅威です。
恐らくですが、競争過熱によって同社の利益率は今までのように強気な水準ではいけなくなるかもしれませんね。
業績について
これから競争が過熱していく市場だと思っているので、あくまで参考程度にしかなりませんが、これまでの業績はチェックしておきます。
売上の成長率
まずは売上。

特別、爆発的な成長はありませんが平均して年15%のペースで成長を続けています。
2014年に前年比で割れている理由は何だったのでしょうか。
内容を見てみると、売上を構成する「機器&アクセサリー」と「システム」「サービス」の内、「システム」セグメントで約2億円の減少がありました。
この時期は米国、日本でダヴィンチシステムの出荷台数が減少した事が要因でした。
米国向けが当時、前年比で30%減少、日本も25%減少と大きく減少しました。
その後は盛り返しているので時期的な問題(米国アフォーダブルケア法や日本では保険対象の問題等)だったようです。
それに2014年後半には日本向けが大幅な値下げを行った事も影響しているのかもしれませんね。これに伴って販売権を代理店から自社に切り替えもこの時期に行っているようです。
一時的に落ち込んだ時期もありましたが、今後はAI等の活用によっても手術を支援するロボットが活躍する場が更に増えると思います。
可能性としては、今回のコロナのように感染症の疑いのある患者の触診や手術でも活用されるようなロボットも恐らく出てくると思います。(既にある?)
業界的にはまだまだ成長段階なので、売上については今後数年間は安定して伸びていくはずです。
もっとも、競合がここ数年の間に実用化に向けて新製品を開発してくると思うので、本格的な競争はそこからでしょうけど。
同社の収益性

収益についても競争過熱に伴って、今後は悪化傾向になってくるのでは?と思っています。
特許の期限切れによって参入障壁が大きく下がってくるので今までのように、同シリーズでモデルチェンジだけでは後発組にコスト面で勝つのは難しいはずです。
利益については
これまでの知見を活かして、新たな舞台で活躍するロボットや新たに有利な特許を開発する等がないと、現状維持は厳しくなってくるのではないでしょうか。
そう感じるのは約10年前は利益率が40%あったのに対し、現在は約30%まで既に落ち込んできている事がわかります。
こういう傾向が見られるので、今後は競争が過激化すると想定した場合、おのずと利益率の低下は避けられないのでは?と思ってしまいます。
ちなみに利益が下がってくるとPER等の指標はこれまでの「まぁ割高」から「割高」に変化していきます。
さらに強い競合が現れ、同社のメリットが弱くなる事が見え始めると『PERも平均的な20~30倍ぐらいが妥当だろう』(※現在は約40~50倍)と市場が判断する可能性もあります。
そうなると「利益減少」「期待感の後退」で株価はダブルパンチで下落するか、もしくは今ぐらいの株価で頭打ち・成長鈍化するような事態になるかもしれません。
キャッシュフローの推移
次にキャッシュフローを見ていきます。

基本的には利益額よりもちょっと多いぐらいなので特に問題なさそうです。
営業CFにプラス要因となる償却費等も、そこまで大きな額の有形固定資産を保有していないので影響もそこまでありませんね。

基本的には、ほぼ『利益額=営業CF』ぐらいの変動しか発生してないようです。
手術ロボットの開発・製造と聞くと高額な工場設備等があるのかな、と思っていたのでこの程度で収まっているのはちょっと意外でした。
EPSは大きく成長中

EPSについては2010年と比較すると約10倍ほどまで成長しました。
株価の成長も同じぐらいだったと思うので、EPSに対しては株価はほぼ同じ程度の期待感で成長してきているという事でしょうか。
下のグラフは過去10年間の株主還元率ですが、配当は出していないので自社株買いだけの割合です。

毎年というわけではないですが、定期的に自社株買いを行っている点もEPSを多少なりとも押し上げた要因になりそうです。
2014~2015年あたりから、ちょっと自社株買いの方針が変わったのかな?というイメージはありますが、この辺は特に調べてません。
まとめ
今回は、米国の手術ロボットトップシェアの「インテュイティヴ・サージカル」について調べてみましたがいかがだったでしょうか。
実は他のサイトを見てたら米国株でおすすめだという内容で紹介されていたので、「へぇ~、こんな会社あったんだ」と思い調べてみました。
そう言われてみれば確かに「ダヴィンチシステム」って聞いた事あるような気がしますね。笑
調べてみた感じでは今のところ、利益率も高水準だし、売上も右肩上がり、しかも成長率は年々改善していっている所を見るとまだまだ今からも伸びるんだろうな~という気がします。
が、それと同時に特許切れによる競争過熱は避けられないような気もするので
僕的に投資判断としては『一長一短』
と言ったところです。
業績面は全然悪くないです。上にも書いた通りむしろ良いです。
でもそれ以上にライバル達がちょっと巨大過ぎるなぁ~と。
グーグルやジョンソンエンドジョンソン、他の世界大手医療メーカー等、これまで特許が守ってくれていた部分が一気になるなるわけですから、同社にとってはこれまでなかった脅威が猛烈に迫ってくる事になります。
そういえば昨日もグーグルがソノスを訴訟した、というニュースも見たし、いろんな分野の「美味しそう」な市場にことごとく「GAFAM」は食い込んでくるな~とGoogle株保有者としては頼もしく、「GAFAM」以外の株保有者としては厄介者だな~と感じています。
イーロンマスクも「アマゾンは解体の時だ」みたいな事を最近ボソッと言ってたみたいですし、「GAFAM」にはできれば既にある市場じゃなくて、まったく新しい市場を自ら生み出してほしいものです。
話は大きく逸れそうなのでこの辺で・・・笑
※投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。