
アマゾン泣かせ?? 自社EC販売を助けるShopify【SHOP】
今回はコロナショックに負けずに上場来高値を更新し続けている
Shopify【SHOP】
について調べてみました。
株価はコロナショックで300ドル台になった後、急騰して現在は800ドルに乗せました。
決算内容がどうこうというよりもコロナによってリアル店舗よりもオンライン販売の重要性が以前よりも更に高まった事から再注目を浴びた形となってます。
例えば3月2日から4月12日までの6週間で、ショッピファイを利用し、新たにECサイトを立ち上げた事業者(の数)は全世界で(それ以前と比べて)75%増えた。
北米発「アマゾンキラー」がいま楽天と組む真意 引用先:東洋経済
このような記事もあるしコロナの影響で世界はこれまでよりも、さらに急速な勢いでオンライン化が進む事になりそうです。
そんなShopifyの特徴といえば
・固定の月額料金がかかる(カード手数料は別途)
・デザインが豊富かつ自由度も高い(※楽天・アマゾン等のモール型と比較して)
・小規模事業者でも手軽に始められる。
というのが大きな特徴です。
世界のECと言えばアマゾン。日本のECと言えば楽天。
Shopifyの店舗はどういう位置づけになるのか?というと「自社サイト」に近いEC店舗になります。
Shopifyのプラットフォームを活用しているものの商品の売上額に応じて多額な手数料を取られるわけではなく、あくまでサブスク型。
ただしShopifyは楽天のように「有名・巨大なプラットフォーム内にある店舗」ではなく独立しているイメージになるので集客面は弱い。
それでも自社製品に魅力があればShopifyで拡大を目指した方が利益も取れて(楽天のように剛健的な)プラットフォーマーにあーしろ、こーしろと言われる事もなくブランドイメージを保ったままビジネスを展開できる。
そういう点を重視している店舗にとっては、Shopifyは魅力的です。
実際これから説明する業績を見てもその事がわかるはず。
初期と比べたら多少鈍化したようにも見えますが成長性はまだまだ期待できます。

全体の売上は後ほどまた説明しますが、地域別で分けるとこんな感じの構成比になっています。
元々カナダの企業なので「カナダ」で分類されてますが、Shopifyの業績を引っ張っているのはやはり「米国」です。ずっと約7割程度を占めています。
また「その他」にあたる「Rest of World」ですが、ここの構成比がFY15とFY19を比較すると10%→15%に構成比が増えました。
2019年12月31日時点では
世界175ヵ国 100万人が加盟店としてShopifyを利用しています。
利用者の構成比としては
米国:52% 英国:7% カナダ:6% オーストラリア6% その他地域:29%
となっているようですね。
日本でも今、急速に増えているみたいなのでそろそろ「日本」として分類されますかね?笑
楽天市場との連携を進めるという発表もあったので、日本市場への拡大も今後さらに加速させてくるのでしょうか。
業績について
というわけで、まだまだ成長を続けている業績面を見ていきましょう。
売上の成長率
まずは売上からです。

売上の成長率は年々低下してきています。
基本はサブスク型の月額出店料から収益を得ていましたが流通額が伸びてきた現在、売上のさらなる上昇を引っ張っているのは「Merchant Solutions」によるところが大きくなってきました。
ちなみに最近発表された2020.Q1四半期の売上成長率は約47%でした。(下記の別途書いてます)

コロナが出始めたQ1期間中の成長率は前期と同じくらいでした。(鈍化しませんでした)
さらにサブスク型の収益という事を考慮すると
無料のトライアル期間があるため、コロナショックでShopifyを活用し始めた事業者が実際の数字に表れるのはもう少し後になるのでは?
と思っています。
一部では既に素早く行動した事業者の利用でQ1期間の売上も伸びたものと思いますが、成長率という点で見ると前期と同じ程度の水準です。
逆に10-Qを読むとコロナによるプランのダウングレードが複数店舗であり、Shopifyにとって売上減となった部分もあるようです。
良くも悪くもコロナによる影響が強いので今の段階で一概に判断するのも難しいですが
恐らくコロナがなかったら売上成長率の面では鈍化していたんじゃないかな?と推測してます。
ただ結果的に四半期ベースで見ても成長率は維持できてます。
前期にならっていくと次の四半期(Q2)決算は若干鈍化する流れですが、多分トライアル期間が過ぎて有料プランが適用されだすQ2四半期は、やっぱりちょっと上がるんじゃないかな?と思います。
(あ、それはさっきも書きましたね。笑)
shopifyの収益源は2つあります。
①Subscription Solutions
「MMR」各プランによって異なる毎月の固定出店料としてかかるサブスク型の収益
②Merchant Solutions
「GMV」流通(取引)額に対して主に取引決済手数料(%)として徴収される収益。
簡単に説明すると上記の2つから収入を得ます。
サブスク型は単純に月額出店料。
手数料収入型は楽天やアマゾンと同じく取引額に対して割合で手数料を取られます。が、あくまで決済手数料としてなのでモール型のように15%とか20%とかかかりません。
FY15の時はサブスクとマーチャントの割合は『55:45』でしたがFY19では『40:60』と売上の規模が逆転しました。
特にマーチャントの方の伸びはこの間で10倍に急増しましたし、Shopifyの流通額はこれからも更に加速しそうなのでこの差はもっと広がっていきそうです。
同社の収益性
で、次は収益性を見てみます。

あら!赤字が拡大してる!
と、思うかもしれませんが損失率ではほぼ変わってません。
費用の内訳を見てみると、「販促費」「研究開発費」の金額が大きく増えています。
まだ拡大期なので、投資を優先している段階だと思います。
本当は赤字額はできることなら縮小していってほしいですが、損失率がだいたい同じ基準で停滞しているので、今はあえて!意図的にそうしているのかもしれませんね。
今、投資をやめたら成長も鈍化してしまうし、多分それで急に黒字化するというレベルでもないと思うので、アマゾンの成長路線と同じく今は拡大・拡大で進めているように見えます。
ちなみにグラフにはないですが粗利率は約55%台と結構高めです。
当初はサブスク型でビジネスモデル的にも積み重ねで成長していく感じでしたが、流通規模が大きくなるにつれて手数料収入が急拡大している最中なので今現在、赤字なのはそこまで気にしない方がいいのかもしれません。
それよりも数年後、マネタイズを強化した時にどうなるか?というのを想像した方が、会社も投資家もハッピーですよね。笑
キャッシュフローの推移
次はキャッシュフローについてです。

会計上は赤字だし、どうだろうと思いましたが営業CFはプラス圏です。
しかも、営業資金としてタイミング的なものによるプラスじゃなくて「減価償却費」「株式報酬」を考慮した段階でプラスになるので「良い方の営業CFプラス」だと思っています。
本当は「株式報酬」を考慮しない状態でプラスになるのが一番いいのですが、まだまだ成長率は高い水準にいるので今の段階で営業CFがプラスであれば問題ないです。
なので、Non-GAAPもプラスです。
2018年度は0.43ドル。2019年度も0.3ドルとプラスをキープしてます。
という事からも、やっぱり会計上の赤字は成長を鈍化させないため、あえてそうしてるというのが正しいような気がします。(※個人的には)
まとめ
今回はShopifyをまとめてみました。どうでしょうか?
一部ではアマゾンキラーなんて言われてるみたいですが、手軽さで言ったらアマゾンの方が手軽かもしれないですね、出品とかは。
でもアマゾンで出品するとブランドイメージなんてなくなるし、最悪なのはアマゾンが本命の売れ筋アイテムに激似のオリジナル製品を作って最終的には全部もっていこうとするし、搾取されたくない企業は自社サイトをやっぱり重視したくなるものです。
・集客力〇ブランドイメージ×利益△の『モール型(アマゾン・楽天)』か
・集客力△ブランドイメージ〇利益〇の『自社EC型(Shopify・日本ならGMO??』か
僕(本業)は後者の考えです。でも実際は前者に頼ってしまってます。笑
Shopifyについて調べる前は、まだまだ赤字まみれだし、資金面もその辺の「ほんとに黒字化するのか疑問な成長株」みたいなもんだろ、と思ってましたが実際はまったく違いました。
業績面も申し分なくしっかり成長しているし、顧客側からみてもメリットは大きい。しかも会社の資金面もひっ迫しているという事もないし、成長株の割に負債も少ない。
ただ、それでも今の株価は高めに感じます。
みんなやっぱりちゃんと見てますよね。優良銘柄にはすでに先客がいます。笑
アフターコロナ銘柄として今、大きく買われているという事もあり確かに魅力的な企業である事は間違いありませんが、現在の株価で納得できるような業績になるのは正直、数年後だと思っています。
でも、将来的には多分現在の株価に追いつくとは思うので長期で損をする可能性は低そうだけど、資金にそんなに余裕のある方じゃない僕は今は待機かなぁ。
もう一回、300~400ドル台に落ちてきたらほしいです。(まぁ…それでも高いんだけどね)
でも僕は本業がEC関係なんで、そっちでのShopify導入自体は大アリですね!