
世界のトップスポーツブランド NIKE【NKE】
今日はほとんどの人類が知っているであろうスポーツ界のトップブランド
NIKE【NKE】
について調べてみました。
今、NIKEと聞いて思い浮かぶのが多分
ピンクの厚底シューズ 「ヴェイパーフライ」。
(あれ、ヴェイパーフライっていう名前なんですね。存在自体は話題になっていたので多くの人は知っていると思いますが名称は知りませんでした。笑)
スポーツブランドという事で
素人のイメージでは若干の機能性の優劣とブランド力、デザイン性が物を言うのかと思いきや、実際はそういうのだけではなく新技術を取り込む力というのも大きな要因であるようです。
そしてそれを引っ張っている世界的スポーツブランド企業がNIKEですね。
売上の内容としては、
『シューズが6割、アパレルが3割、その他が1割』
です。(超ザックリ)
そして、業績を見ていく前にこちらをどうぞ。

元々は卸販売がメインでしたが、ここ数年の間に直販が大きく伸びている傾向にあります。
時代の流れに漏れず、NIKEも直販を強化してきた事で本来のブランド力による拡大にプラスして直販での顧客獲得も進めてきました。
これからの売上の伸びや利益率の維持を考えるとこうなるのは、やはりメーカーにとっては必然の流れでしょうね。
確実なのは「直販を強化していなければ今のNIKEはない」という事だと思います。
業績について
はい。では前置きは短いですがNIKEはみんな知っている企業なので早速業績の方を見ていく事にします。
売上の成長率

売上の推移を見ると、特に目を見張る部分はありませんが毎年、安定した成長を続けています。
この5年間で見ると
Apparel:約42%増加
の売上成長が業績を引っ張りました。
ちなみにこの2つがNIKEの約9割の売上を構成しています。
また、この5年間に部門カテゴリーが少し変わったので単純に比較できない部分もあるのですが、部門カテゴリーを比較するとこうなります。

ざっくりまとめると、
①構成比率の大きかった「Running」は2%減。
②変わりに「Sportswear」が大きく伸び、構成比は38%に増加。この5年間で売上額としては約2倍に成長しました。
③「Basketball」も途中から「Jordan Brand1」と別れて集計されるようになったので目立ちませんが5年間で約50%売上が増加しました。
という事は、ここ最近のNIKEの業績を引っ張っているのは「Sportwear」だという事がわかります。
じゃ、次にどの地域で伸びているのか。

地域別の売上構成比は5年前と比較しても大きくは変わってないようですね。
強いて言うとすれば、やはり中国での売上が伸びているという事でしょうか。
ちなみに途中まで「Japan」でわが日本も分類してもらっていたのですが数年前からアジアにまとめられました。
多分、日本だけでは売上構成比が落ちてきたからアジアに組み込んでしまえ、となったんでしょうか。多分そうです。
ですが最近、またNIKEは若い人に人気出てきてるみたいです。まぁそれでも全盛期の盛り上がりとまではいかないんでしょうね。
僕は当時生まれてませんでしたが、エアージョーダンとかその辺のブームは凄まじかったようで、最近の日本でのNIKEのイメージとしては「アパレル」の印象が強くなっている気がします、感覚的にですが。。。
利益について
では次に「利益面」を見てみます。

世界的なスポーツメーカーと言えばやっぱり「NIKE」というイメージですが
やはり物販なのでハイテク企業なんかと比較すると利益率はそこまで高くありません。
しかしながら物販で最終利益が2桁台を維持するのは難しいので、さすがの「ネームバリュー」という感じ。
FY18から少し営業利益率が悪化して最終利益率は一時的に50%以上の減益となりました。
それ以来、利益水準は1段下がったような印象があります。
その原因は何だったのでしょうか。
まず、細かい所でいうとまず営業経費が売上の成長以上にコストがかかりました。
営業経費だけで見ると2016年度の方がコスト比は高かったのですがその時は粗利率が良かったので相殺されていました。
2018年度は粗利率・営業経費率ともに少しかさんでしまったイメージです。
まぁ、上記の内容による減益の影響はほとんどないのですが
最終利益については税制改正の関係で税負担が24億ドルほど発生したため大幅減益となったようです。
2019年度では税率も戻っているので一時的なものでした。
なのでFY18が減益になったの1番の要因は税金が理由なので特殊要因ですね。
しかしながら、大きく下げているわけではないですが
2018年以降の営業利益率が12%前半(これまでは悪くても12%後半ぐらい)まで低下しているのはすこ~しだけ心配です。
まぁ、これまでの業績と比較して1%ぐらいの差なので、そこまで気にしなくていいとは思いますけどね。
キャッシュフローを確認
次にキャッシュフローを見ておきます。

FY15は一時的に営業CFが大きく伸びました。
売上が前年比+10%伸び、利益率も変わらなかったので純粋に純利益が増えた分と
ガンッと上がっているのはいわゆる「運転資金」の分も含まれているのでそれを除くとおよそ純利益額分が伸びた結果となります。
そしてFY16を境に営業CFは右肩上がりに伸びていきました。
これは運転資金の時期的な増減で左右されている面もありますので、同社の場合はCFで見るよりも、PLで見た方が実態がわかりやすいのかなぁと思います。
まぁ、ざっくり言うと
利益率を維持したまま毎年5%以上の売上増を積み重ねている業績安定企業
というイメージで良いと思ってます。
『超』積極的な株主還元方針
最後に同社の「株主還元」の状況を見てみましょう。

配当金と自社株買いを合わせた、総還元率はFCF対比では100%を余裕で越えています。
ちなみに配当利回りは3/26現在で1.2~1.3%ぐらいなので高配当というわけではないです。
その代わり自社株買いは毎年行われており、
年間配当金総額の約3倍ほどの規模の自社株買いを毎年行っています。
その代わり?稼いだ金額以上の株主還元を行っているので個人的にはちょっとやり過ぎ?という感じもしますがどうなのでしょうか。
競争力が高く安定した収益が見込める企業やサブスク的要素があるビジネスであれば、良いかもしれないですがNIKEと言えど、物販メインの企業がこの株主還元規模はブランド力が落ちてきたら一気に配当なし、自社株買いなし、になってしまいそうな気も…
まぁ自社で製造は行っていないファブレス企業になるので設備投資に資金をあまり必要としない部分があるので、これだけ株主還元を強化しても
流動資産は過去5年間ぐらいはずっと150~160億ドル付近をキープしている状態です。
FY18は税制改正の負担が一時的にのしかかった事で利益を大幅に超過する規模の株主還元を継続したため、結果的に自己資本が減り翌年のROEは急上昇しました。
株主還元に積極的なのは投資家としては嬉しいのですが、今回のボーイング(自社株買い停止・配当停止)みたいになってしまう会社も実際にありますので、これまで大規模な自社株買いを行っていたから今後も続くだろうと考えるのもちょっと危ない気がします。
改めて今回のボーイングの件では考えさせられましたね。(迷った挙句、同社株を購入してなくて良かった…)
まとめ
もう多くの投資家の方達がNIKEについてはまとめているので真新しい事はなかったと思いますが、自分のためにまとめておきました。笑
先日の好決算でコロナショックで一時的には高値から40%近く下落しましたが若干戻しましたね。
forbesjapan.comより引用
それでもPERは27倍程度であり、まだ割高かな?という気がしないでもありません。
元々の株価が少し上がり過ぎた感もありますが、それもマーケットの期待の裏返しであって一概に「割高」っていうだけなのとはちょっと違いますかね。
同社に対するイメージや実際の業績から見てもわかるようにNIKEというブランドはスポーツ界では秀逸です。
ですが、やはりブランド力という面だけで言うと世界のトップブランドである「Apple」と比較してしまうと競争優位性はそこまで高くはないと思っています。
それを考慮すると、やっぱり今の株価は僕からしたら高く見えてしまいます。
積極的な株主還元も業績が停滞した場合、自社株買い停止や減配等を懸念されると株価に与える影響を考慮するとちょっと怖い気もします。。。
企業としては現時点ではとても安定した企業であるとともに、冷静に見ると実はそこまで参入障壁が高いという業界でもないと思うので
「売上が伸びても利益率が低下し始めたら注視」
しておいた方が良いのかな、と感じました。
※投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。