
アイロボットが2019.Q4決算を発表しました。
日本時間で昨日6日の朝方に私の保有株のうち、それなりの比率を占めている
iRobot(アイロボット)
の決算発表がありました。2019年度Q4決算の発表なので通期での業績も確定しました。
恐らく、米国株投資家の中ではそんなに保有している方は多くないと思いますが、まとめてみました。私は保有しているので。
アイロボットと言えば、直近の決算発表は毎回暴落していて直近最高値から半値以上、株価が落ちてしまっている企業です。
私は、2019年度の決算内容をこれまで四半期ごとにウォッチしてきましたが正直そこまで売るほどかなぁ、と思い昨年は2度に渡り同社株を購入しました。
今回は来期の会社ガイダンスも発表されるQ4決算発表だったので、業績盛り返しによる株価反発を密かに想像していました。
結果、
昨晩のマーケットでは約18%の大幅高となりました。
…本来であれば「わーい!やっぱりね!」なのですが、個人的には
「なんで、あの決算で上がったの…」
という感じでした。
記事は本日書いていますが、決算の内容は昨日ある程度見ていたので
私は今回の決算を受けて、こんな事言ってました。
はい。という事で保有株の4割ほど昨晩売却しました。
損切です。
いやぁ、なんであの決算で株価が反発したのかわからないけど最小限の痛みで売れて良かった。
もう6割ほど残ってますが、それも今現在60ドルで売却予定で指値してます。
米国株を始めてからあんなに期待していたアイロボット社の株をどうしてこんなにそそくさと手放す事にしたのか、まとめてみたのでもしよかったら読んでみてください。
2019.Q4決算の結果
そう判断する事となった決算の内容から見ていきたいと思います。
まずは通期の業績を昨年対比で比較しながら見てみます。
2019年 Q4決算【累計】
売上高:12.1億ドル(+11.1%)
売上総利益:5億4,300万ドル(△2%)
粗利率:44.8%(前期は50.8%)
営業利益:8,600万ドル(△18.1%)
営業利益率:7.1%(前期は9.7%)
純利益:8,530万ドル(△3%)
純利益率:7.0%(前期は8.1%)
EPS:2.97ドル(前期は3.07ドル)※△3.2%
で2019年の業績は着地しました。
結果的には増収減益となってしまいましたが、減益になる事自体は最初から分かっていたので、ここまでを想定して株を購入していました。
なので、ここだけ(2019年度通期の業績)を見たら多分手放さない。
なぜなら前四半期に発表した会社予想よりも結果的には上回っていたので。
売上:12~12.1億ドル
営業利益:7,500~8,000万ドル
EPS:2.6~2.8ドル
↑こちらが前四半期であるQ3の時に修正された通期の業績予測です。
それに「Q4の売上が一部Q3に前倒しで計上された」という事もあったのでだから、私もQ4は結構減益なのだろうなぁ、と。
それがわかっていたので
通期で会社ガイダンスを超えてきたのは確かに予想外のサプライズではありましたね。
ただ、問題はここじゃないんです。
2019年 Q4決算【単体】
じゃ、Q4四半期単体で見てみよう、という事でこんな感じでした。
売上高:4.26億ドル(+10.9%)
売上総利益:1億6,900万ドル(△9.2%)
粗利率:39.7%(前期は48.5%)
営業利益:1,650万ドル(△44.4%)
営業利益率:3.9%(前期は7.7%)
純利益:2,000万ドル(△20.4%)
純利益率:4.7%(前期は6.5%)
EPS:0.7ドル(前期は0.88ドル)※△20%
売上は10%プラスなのに営業利益はマイナス44%です。
米中貿易摩擦による関税の影響をガッツリ受けているようでQ4四半期だけで営業利益率に対して約5.1%のマイナス要因があった、となっています。
それがなければ営業利益率は9%程で前期よりも増益する結果となるはずです。営業利益も3,800万ドル付近になりますから金額ベースでも増益です。
ちなみに通期で見ると関税による利益率の悪化は約3%ほどのマイナス要因とあったようですね。(営業利益率に対して)
という事になりますが、そんなにうまくいかないみたいです。
私が気になったのは来期の会社発表のガイダンスがあまりに弱気だったのが衝撃でした。
2020年度の会社ガイダンスを公表
まずはみて欲しいです。
【2020年度会社ガイダンス】
売上額:13.2~13.5億ドル
(GAAP)
売上総利益額:5.07~5.2億ドル(粗利率39%)※下限
営業利益額:1,500万~3,500万ドル(利益率1%)※下限
EPS:0.55~1.15ドル (今期は2.97ドル)
(NonGAAP)
売上総利益額:5.07~5.2億ドル(粗利率39%)※下限
営業利益額:1,500万~3,500万ドル(利益率1%)※下限
EPS:1.7~2.3ドル (今期は3.62ドル)
と発表しました。
最初にEPSだけを見た時
『2020.Q1単体だけのガイダンスかと思いました。』
GAAP基準だと81%の減益(下限の場合)
NonGAAPでも40%の減益(下限の場合)
コメントにも「2021年以降回復できるように~」と書かれているため、2020年の業績については早くも期待できません。
『売上成長鈍化&利益率急悪化』のダブルパンチです。
関税による影響もあるでしょうが原価率アップによる粗利悪化なので、結果的には競争力がなくなってきている事を示しています。
現に2019.Q4四半期では粗利を始め各利益が大幅に悪化しました。
それが2020年度では更に加速する、という事のようです。
中国市場での『ルンバ』のポジション
そもそも、そこまで悪影響を受ける中国市場における「ルンバ」の立ち位置って、どんな感じに今なってるのでしょうか。

同社のIR資料にこのような表記がありました。
2018年から世界的にシェアが落ちてきている事がわかります。
さらに、合わせてこちらも見てみると明らかに中国市場で上手くいっていないのが、モロわかりです。

もう、ご丁寧に「excl China」と書かれています。中国を除いて「Global」のシェアを公表しているぐらいです。
1枚目の資料を見るとシェアを伸ばしてきているのが、
シャオミ(Mi)とEcovacs、どちらも中国メーカーです。
この2枚の資料を見比べるだけでも中国市場ではめちゃくちゃ苦戦しているのがわかります。Appleのようにはいかないのです。
以前は世界の掃除機ロボシェアの6割以上(※販売当初はもっと)を占めていましたが中国企業の追い上げによって、今ではアイロボットの世界シェアも5割程度まで落ち込んできました。
しかも、この大事なシェア争いの最中、たたみかけるように米中摩擦の関税引き上げによってアイロボット製品のシェア・競争力は急速に衰えていく事になったようです。
そんな競争激化&関税攻撃を受けて利益率が年々悪化し続けた結果、今四半期では、いよいよ粗利40%をきってしまいました。
これまでは悪くても40%台後半で推移してきていたので明らかに競争優位性が削がれている事が明白にわかりました。(残念ながら。。。)
私がこの間まで気になっていた新商品の展開のタイミング等もあり増え過ぎた在庫。
Q4四半期はホリデーシーズンだった事もあって思っていたよりも大幅に消化できていた半面、その代償として利益を削ったという形になりました。
関税による負担の一部を自社で吸収、さらに新商品プロモーションによって利益率は今期、大きく悪化しました。元々、価格的には高めになるので関税分を全て上乗せとはいかないでしょうしね。
仮に良い材料を出すとすれば、
中国をはじめアジアでの売上は伸び悩んでいますが、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)では順調に伸びており3年ほど前までは全体の4分の1だったものが3分の1まで増加しました。
という点ぐらいですかね。
あ、唐突ですがQ4に大幅に売上が増えるのはホリデーシーズンがあるからでこれは毎年そうなります。
一見、最後に大きく伸びたように見えますが前年比では+15%ほどです。ちなみに前年もそのぐらいの伸び率でした。
しかも、今期は新商品の販売がいくつかあったにも関わらずこの状況なので、アイロボット製品に対する需要は落ちてきていると考えてます。
まとめ
アイロボット、結構期待していたので正直残念に思ってます。
今回売ろうと思った要因を一言で言うと
『来期のガイダンス弱すぎて、もう…。(-_-)』
です。
今後どうやって業績を巻き返していくのかと考えたところで、なかなかイメージが湧きませんでした。
関税は確かに痛いですが、それによってこんなにも業績が悪化する耐性のなさ、が長期的に保有できるか?と思うと怖いです。
ホームロボメーカーとして今後、色々な機器(他メーカーや自社新製品)と連動して、主要なホームロボ企業として成長していくと思ってましたが、ここまで競争力が落ちていってしまった事と掃除ロボット以降ほとんど新しいサービスや製品も出てこないのでこれまでの期待がちょっと過剰だったのかな、と我ながら感じています。
これからアイロボットがどうなるかわかりませんけど、とりあえず今後数か月以内に全ての保有株を売却する予定です。
あいにく昨日はなぜか株価が急騰したので半分近く売って損切りしましたが、空売りの買戻しだったんでしょうかね。
上がった理由は全然わかりませんが、私にはどこを見ても「売り」一択でした。
残りの保有株60ドルあたりで売りさばけたらラッキーだな~と思って指値だけしています。
株価の動きは読めないので短期的にはもしかしたらもう少し上がるのかもしれませんけど市場は遅かれ早かれ適正な株価に落ち着くものだと思っている(買う時もそういう気持ちで買ってる)ので
例に沿って、売る時も同じ考えでないと辻褄合わないなぁ~という事で長期的に業績が伸びるイメージが湧かなくなった以上、早く売却してしまいたいです。
もしも「執事ロボ」とか作ってきたら、また気になってくるかもですが今は撤退とします!
『iRobot(ルンバ)はApple(アイフォン)のような存在にはなれなったようです。今更ですけど。』
さよなら、アイロボット!また逢う日まで!
※投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。