ドメイン界のダースベーダー ベリサイン【VRSN】は長期投資に向いているか。

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「.com」を牛耳っているレジストリ企業 ベリサイン

今回はちょっと癖のある米国企業の紹介です。
バークシャーも投資している企業という事もあって個人投資家達からも人気の高い企業のひとつです。

ベリサイン【VRSN】

という企業について調べてみました。

同社を見る時のポイントは恐らく

・営業利益率60%以上の超高収益ビジネス
・配当なしだけど毎年稼いだキャッシュと同規模の自社株買い
・債務超過株主資本(純資産)マイナス

が特徴的なのではないでしょうか。

そして人気の高配当銘柄ではありませんが、なぜか人気があります。
中身を見れば人気の要因がわかるのですが。

私がベリサインに行き着いたのは営業利益率でスクリーニングをしていた時に上位に出てきていたからです。

通常だと、利益60%と言うと

「どうせ一時的なもんだろ!」

と感じるラインなのですが、同社の場合は営業利益60%付近の業績が続いています。

あれ、と思って調べてみたのがベリサインに行き着くまでの流れでした。

そんな利益率がバカ高いベリサインが行っているビジネスから見ていきます。

ビジネスモデル

ベリサインがここまで高収益である要因は「レジストリ」です。
正直ベリサインについてはこれだけわかっていればいいんじゃないの、と思ってます。

ちなみに「レジストラ」とは一文字違いですが、収益性の差は歴然です。

ざっくりイメージで言うと

●ドメイン界の元締め的存在が「ICANN」。

●指導者が「レジストリ」

●管理をする中ボスが「レジストラ」。

●雑魚キャラが「リセラー(ドメイン販売会社)」

となります。

スターウォーズの悪の帝国【シス】で言うと

●ICANNが「ダース・シディアス」

●レジストリが「ダース・ベーダ―」や「ダース。モール」

●レジストラが「ストームトルーパ―」

●リセラーが「クローントルーパー」

●そして私たちドメインを使ってお金を払っているユーザーが「奴隷」

みたいな感じでしょうか。
(※スターウォーズにはまってます、すみません)

上記に赤線を引いていますが、ベリサインはこのレジストリ事業(ダース・ベーダ―)を行っています。

要するに階層の中でも上の存在です。
だからこそ高い利益率を保つ事ができるのです。
もっと上の存在に「ICANN」がありますが非営利法人なのでここは除外します。

実はベリサインも以前はレジストラ事業も行っていたのですが、レジストリ事業と比べると競争がある分、どうしても収益面でレジストリ事業に劣ります。

それを嫌って、レジストラ事業については約15年ぐらい前におさらばしました。

【レジストリ】とは(※わかりやすいようにイメージで)

私のブログを含む多くのホームぺージではURLの部分に「.jp」や「.com」などのTLD(トップレベルドメイン)が入っていますね。(もちろん、それ以外も)

実はこれはICANNがベリサイン等のレジストリ会社にそれぞれ割り当てたTLDになります。

※ちなみに「.jp」は日本の企業(JPRS)がその権利を保有しています。

その中でも世界中で人気のある「.com」はベリサインに割り当てられてられました。
「.com」のアドレスを使う時は必ずベリサインを通さないといけないので黙っていても「.com」のドメインを使いたい人がいれば収入が入ってきます。

私たちに馴染みのある「.com」や「.net」のドメインのデータベースはベリサイのものです。
上記のドメインを独占できる権利を与えられているから、ここまでの高利益を上げる事ができるのです。

ちなみにですが、今新しいドメインとして話題になっている「.shop」はGMOグループが2016年に獲得したようです。

(※スターウォーズ的には「カイロ・レン」的なポジションですね。しつこくてすみません…)

ドメイン等のネットワーク関連の仕組みは、実際はもっとごちゃごちゃしているんでしょうけど、ざっくりとわかりやすいようにまとめるとこんな感じのイメージでとらえておけば間違ってないと思います。

業績について

売上と売上成長率

それでは実際の業績について見ていきましょう。
どんなに強い立場であっても業績に連結してなければ意味ないですもんね。

どうでしょう? なかなかナイス!ではないでしょうか。

インターネット界のインフレ的要素として既に成熟している仕組みですが、その中でも売上を微増ながら伸ばし続けている点は安心して見ていられます。

下記の表はベリサイン社が公開しているドメイン数ですが、こちらも微増ながら増え続けていますね。これが同社の売上の基になる指標ですので同社の株主の方は要チェックです。

【引用】 FY19.Q3 IR資料より

年間ごとの利益推移

売上が微増でも、利益が下がっていれば安心はできないです。
ベリサインの場合はこのように利益も進捗しています。

純利益については

支払利息の負担が営業利益に対して15~20%ほどある事と税金が差し引かれますので最終利益はだいたい平均として40%ぐらいで推移しているようです。

さらに、一番大事な営業利益はまだ年々改善しています。値上げ要因でしょうか。
どちらにしてもここまで高い利益額を維持するどころかまだ改善しているので売上の伸びがどうこうよりもインパクトあります。

今後も値上げが続けられると思いますので利益はこの先も安定すると思われます。

はい。では、せっかくなので支払利息がなぜ多いのか念のため確認しておきます。

ほとんどが社債(シニア債)による支払利息です。資本として計上するための社債でしょうか。

内訳を見てみると
シニア債がおよそ5%の利息(元本17億ドル)で約8,700万ドル。
2018年までジュニア債の利息分として約2,000万ドル程度の利息とその他利息が発生しFY18は1.1億ドルほどの利息が発生してましたが、
今期(FY19)の会計期間はジュニア債の利息はもうないので支払利息は9,000万ドル程度に収まると思います。

その影響もあって今期Q3までの業績を見ても今のところ粗利率、営業利益率、純利益率ともに改善しているようなので今期最終も安定した成長を見せてくれる見込みです。

いや~、優良企業ですね。

ベリサイン社の3つの特徴を紹介

ばっちり稼げる企業だという事はわかったので、ここからは一番最初に説明したベリサインの3つの特徴を確認しておきます。


営業利益率60%以上の超高収益

まずは、さっきまで説明していた収益性についてです。

同社には「ドメイン」という黙っていればずっと入ってくる収入源があります。
「インターネット版 家賃収入」みたいなものです。

しかも住宅のように引っ越したくなるものではなく、むしろドメインにはこれまでの実績があるので「引っ越したくないモノ」にあたります。

僕だって、今のこのブログのドメインを急に倍に値上げします、と言われても多分条件をのんでしまいます。

だってドメインにはこれまで育ててきた検索に対する耐性(上位表示等)等の付加価値が既についています。
企業でいったら目に見えない「無形資産」や「のれん代」みたいなものです。

さすがに「ドメイン料、年間10万円にします」とかなったら私のサイトでは赤字になりますのでドメイン変更しますけど。

※値上げについては、急激な値上げは規制されているみたいですね。何年間で何%増までというような決まりが一応あるみたいです。

例えば年間100万円稼げるサイトのドメインを1,000円から将来的に2,000円まで上げます、と言われてドメイン変更しますか?
仮にもし1万円に値上げされたとしても100万円稼げるサイトを運営している多くの人はドメインは変更しませんよね。

そこがベリサインの強みです。

あなたのサイト(※ドメイン)はベリサイン(もしくは他のドメイン会社)のものなのです。

ドメインという人質を取られているので、どうしようもないのです…。バフェット氏の好きな『価格決定権』、もってますよ。ベリサインは。

債務超過株主資本(純資産)マイナス

前に調べたムーディーズと同じく、ベリサインも財務上は債務超過の企業です。
みんな大好きマクドナルドもそうですよね、確か。

要するに資産よりも負債の方が多い会社という事です。
「え、ダメじゃん。。。倒産直前?」と思うかもしれないですけど、

『毎年しっかり安定したキャッシュを稼げる自信がある』

からこそ、できる作戦です。

簡単に言うと

「何もしなくてもお金入ってくるし、今後も設備投資する予定ないから株主にあげるよ」

というスタイルであって、この「あげるよ」が配当金じゃなくて自社株買いの形として株主に還元しているという事です。
自社株買いで株式数を減らしてEPSを極限まで上げる(1株の価値を高め続ける)スタイルなのです。

そんでもって、利益成長が止まった企業が自社株買いをやるのともちょっと違ってベリサインは毎年、売上も利益も微増を続けているから自社株買いによって業績の成長率以上にEPSが成長する、という事になります。

一時的な要因がよくあるので突出してEPSが高くなる年がありますがそこを除くと毎年高い成長率で伸びています。
売上・利益の伸び以上にEPSが成長するのは、この自社株買いのおかげです。

ちなみにFY18までの場合だと約13億ドルの純資産マイナスとなっています。

でも同社が1年に稼げるキャッシュは約7億ドル稼ぎますので、2年間、稼いだキャッシュを負債に充てればいいだけです。

要するに『その気になればいつでも負債が減らせる状況』だから会計上は債務超過でも大丈夫なのです。


配当なしだけど毎年稼いだキャッシュと同規模の自社株買い

上でも書きましたが、ベリサインは米国個人投資家の方から人気のある高配当企業ではありません。
でも株主高還元企業ではあります。配当の代わりに自社株買いをしているからです。

2010年と2011年がぶちあがり過ぎてて他の年のすごさがわかりにくくなってますが
ほぼ毎年稼いだキャッシュと同じ規模の自社株買いをしています。

毎年多額の自社株買いを行うため、それによってEPSが上昇。するとPER等の指標が割安に見えてくる。それに追随して株価も上がるというスタイルです。

だから株主を非常に大事にしてくれている企業であるものの
インカムゲインで返すのではなく、キャピタルゲインで返す、という方法を選択している企業です。

市場は最後には正しく評価されるモノなので長期的に見れば配当と同じように株主に還元されるモノです。

また、配当を出す企業と異なる点では「税の繰り延べ効果」もあると言われます。
配当を受け取る時に抜かれる税金分も自社株買いでは(一旦)ほぼ全額(企業業績を通して)還元される形になるので税を将来に繰り延べできる効果があります。

株主から見ると自社株買いの方が自己資産拡大局面では有効だと考えられます。

ちなみにベリサインのPERも30~40倍程度なので、ちょっと買われ過ぎな気はしますが
自社株買いを継続的に行っているので

将来の継続的な自社株買いを含んで今の株価になってると思います。

だから、自社株買いを発表したからと言って短期的に急上昇するような銘柄ではないですね。

逆に自社株買いが廃止された場合は株価は大きく調整されると思います。
(代わりに同じ規模の配当を出すとなれば話は別ですけどね。)

まとめ

今回はベリサインが人気銘柄である理由を調べてみました。
どうでしたか?欲しくなりましたか?

私は欲しくなりました。
でも、今から保有するのはちょっと遅いかも、というのが個人的な本音です。
5~10年待てる方は良いと思いますが5年以内で資産倍増なんかを目指すのであれば
ベリサインじゃない方がいいかもしれません。

今の所、成長率が爆発的に伸びる可能性は低いと思います。
買収や高収益な新規事業を始めるのであればわかりませんが。

ただ、安心して持てる銘柄には間違いないです。

もしも私が買うとしたら、自己資産が満足できる水準まで行った時か、何かの間違えや○○ショック等で、万が一割安な水準に落ち込んでしまった場合でしょうか。

PERがせめて25倍以下であれば考えたかもしれませんが40倍近くというのはちょっと割高に思います。

ただ、永続する可能性の高い企業のひとつだとは思います、それも極めて。

「.com」「.net」の存在がある限り、ベリサインの存在もなくならないと思いますから。

※投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。

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