アリババ【BABA】はGAFAを超えれるのか。

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中国が世界に誇るEC大手 アリババ

今回は中国のEC最大手である

アリババグループ【BABA】

について調べてみました。

アリババと言えば、中国の有名な起業家ジャック・マー氏が創業した企業でありソフトバンクが筆頭株主となっている投資界隈ではよく聞く中国企業です。

時価総額の世界ランキングで見てもアリババとテンセントは中国のIT企業としてTOP10に位置している中国企業の中でも注目されている企業のひとつでもあります。

今回、アリババについて調べてみようと思ったきっかけは米国(または日本)だけに投資を集中させるという事は一般的には『日本はもうダメに思えるから米国に。』という所から始まる人が多いかと思いますが、でも、それはそれで米国という国の企業に集中投資となるので万が一、米国がダメになった場合、結局リスク分散ができていなかった事になるので、悲惨な結果になる可能性も否めません。

もちろん、これまでの世界は基本的には米国の企業がずっとリードしてきていたので、可能性としては非常に低いとは思いますが長期で見た場合あり得なくはないはずです。

だから新興国にも何割かは分散投資している、という人もいると思います。
そっちの方が正しいのかもしれませんが、今の世界の2強は米国と中国です。

新興国の成長も魅力的ですが、新興国に幅広く手軽に投資できるETFや投信であっても、各国個別の状況がやっぱりわかりにくいのでそれなら、もう少し遠目で見て、それぞれのトップに懸けてみよう、という考えです。

これまでのトップである「米国」と、新興国を巻き込みながら急激に成長している「中国」に。

どっちも共倒れで、他の新興国が新世代のトップにのし上がるというのは、シナリオ的に私が生きている期間ではあり得ないと思うので、とりあえずまずは中国に、という事でアリババについて調べる事にしました。

アリババのビジネスモデル

アリババ集団の主力であるEC事業は大きく分けて

・Alibaba.com (BtoB)

・タオパオ (CtoC)


・天猫 (BtoC)

の3つのECプラットフォームが同社の売上の大半を占めています。

Amazonや日本で言えば楽天市場等とほぼ同じ内容のサービスを提供しています。
中国国内でECと言えばAmazonではなくアリババ
というイメージが定着しています。

なぜ中国にも進出していたAmazonがシェアを獲得できなかったのか。

私が中国で仕事をしていた時に私が在籍していた会社でもタオパオ・天猫に出品をしていました。
日本人である私たちが馴染みのあるECは商品の販売ページから決済して届くのを待つだけですが、中国では購入前に交渉というかやり取りを入れる事を好みます。

そのため、売る側は何もしなくて売れるという事はなく、お客さんとチャット等でやり取り、時には値段交渉までして購入に至るケースが非常に多かったです。

そういう商習慣もありAmazonのやり方は中国ではマッチしなかった、という事でアリババがここまで勢力を伸ばす事になったのだと思います。

それに、アリペイの普及もあり、結果として人口13億人の市場シェアを掻っ攫っていったアリババが創業から約20年そこらで約3,800億人民元(550億ドル)の売上を上げるまでに至りました。

流通総額では中国国内で8530億ドル(約91兆2710億円)と非常に巨額なお金を動かす企業となりました。
ちなみに楽天市場は3.5兆円程度。中国で一番売れる日「独身の日」の流通額は約4兆円以上と言われてますのでこの日1日で楽天の流通額を越えます。…ヤバすぎですね。

世界のアマゾンでさえも流通額ではアリババの半分以下程度だと言われています。

今ではEC以外にもクラウド分野まで進出しており、相変わらず中国のIT業界を引っ張っていっている企業です。

Core commerce】
主力であるAlibaba.comやタオパオ等のEC事業(ECプラットフォーム)を提供している。それに関連する物流サービス等も。
【Cloud computing】
アリババが提供するクラウドサービス部門。Paas、laasサービスは中国1位。
【Digital Media and Entertainment】
Youku(中国版ユーチューブ)やUCブラウザ等、メディアの配信やエンターテイメントコンテンツを提供している。
【Innovation initiatives and others】
デジタルマップやナビ等の交通情報やIoTの開発等、まだ先行投資段階の事業を含む。

ざっくり上記の4セグメントに分かれており、そのセグメントに収まっている事業は下記のようになっています。

出典:アリババグループIR資料

他にも非連結ながらアリババの金融関連会社「Ant Financial」にて金融サービ「Alipay」を提供しています。年間約8億人以上のアクティブユーザーがおり、世界最大のモバイルオンライン決済プラットフォームと言われています。

めちゃくちゃざっくりな分類ですが、上記のようなセグメント分けがされているようです。

アリババは時価総額こそ世界TOP10位以内に入っていますが、同じくTOP10に入っている米国企業はグローバルに展開をして今の時価総額まで到達しました。

それに対してアリババの場合は国内売上が9割以上です。
例えば2年前と比較して海外比率を増やしてきたのかというと構成比でみると、そんな事はありません。

コマース事業は全体の85%→75%となりましたが海外売上の構成比が伸びたわけではなく中国国内向けの他のサービスが伸びただけでした。
むしろ素直にセグメント別に見ると海外売上は2017年の約10%から8%程度に微妙に構成比は減少しました。

もちろん、売上は毎年+50%という勢いで伸ばしてはいますが、国内向け売上も同じ勢いで伸びています。
今はまだ中国は人口も増えていますし中国ECも伸びている段階ですのでそれでも良いでしょうが、海外の売上を思う様に伸ばせなかった場合、内需だけで落ち着いてしまう可能性も高そうです。

世界の人口は増え続けますが、国単体で見た場合はやっぱり急増した後には、その分急減する可能性が高いですので、そうなった時に成長を続けられるかは今の段階では疑問です。

それでも巨大な時価総額をもった企業である事には変わりありませんので素直に業績を見て確認してみます。


業績について

売上と売上成長率


過去10年間の売上の推移
セグメント別に見た売上額の推移

こうやって見てみると、やはり売上も毎年50%近い成長率で増加し続けており、主力であるEC事業もまだ大きく鈍化する事もなく伸び続けていますし、まだ規模が小さいながらもクラウド事業については毎年2倍近い成長率で拡大しています。

今のところ同社の売上を引っ張って行っているのはEC事業であり、
アマゾンやマイクロソフトと同じように次の売上の柱としてクラウド事業を盛り上げて言っている状況です。(アリババはまだ利益は出せていませんが。。。)
他の部門はボチボチといったところでしょうか。

アリババの収益力


過去10年間の各利益の推移
過去10年間の営業CFとFCFの推移

最終利益こそまだ安定はしていないものの、営業キャッシュフローは毎年順調に伸びているので毎年しっかり稼げている事がわかります。

また、上記のグラフには表示していませんが、利益面で気になる点は粗利率が落ちてきているという点です。
2017年度と2019年度を比較すると粗利が15ポイント以上下落しており営業利益率を押し下げる要因となってしまいました。
そのため2019年の営業利益は減益となりましたが、これは主に株式報酬費用の増加と2.5億ドル(17億人民元)の訴訟和解費用が発生したため減益となったようです。

実際に製造や管理原価にあたるものではなく株式報酬費用と一時的な訴訟費用が大きく関係したと思われます。
これを除くと営業利益は前年比8%増となる、と発表されていますが売上は50%上がっているのに対して8%の増益ではやはり利益面が悪化しているという事になります。

クラウド事業が拡大のために先陣きって赤字突破してるんだろう、と思い見てみるとそういうわけではないようです。

セグメント別の営業利益の年間の比較です。

パッと見、アリババの1番大事な柱であるEC事業の利益率が悪化しているようです。
「Core commerce」の前年比の売上増加率は約50%に対して、利益の増加率は6%しかありませんでした。
同セグメントを前期と比較してみると、2018年はなんと利益率48%もありました。
しかし2019年になると33%まで悪化しました。(ちなみに2017年度は55%。)

仮に株式報酬費用の増加分を差し引いたとしても、それでも約10ポイントの大幅な悪化となりました。

ですが、もう少し読み進めると「Ele.me」と「Cainiao」の新たに取得した事業の統合コストとあります。さらに、その後に続いて記載があったニューリテール(オンラインとリアルを融合させた新しい小売プラットフォーム)の整備コストがCore commerce事業の利益を削り、(セグメント違いでは)物流プラットフォームのコスト等が重なった結果、全体での利益率も悪化して見えるみたいですね。

EC事業が収益を取れないビジネスになっていっている、というわけではないのでそこまで心配しなくても大丈夫そうです。

アリババの【ニューリテール】とは

アリババが進める新たな小売りプラットフォームの環境下では、例えば実店舗に行き、現物を見ながらスマホ操作で購入を進める。それを配送してもらったり、店舗においてあるデジタル端末で販促を行ったりと様々な方法があるようです。
前に日本で一瞬流行った「オムニチャンネル」とは、まったく異なる高い次元でのリアル店舗とネットの融合となっているようです。

もしかしたら、アリババの次の魅力はこの「ニューリテール」にあるのかもしれません。
地方の商店でも取り入れられるようなシステムも存在するようで、中国の発展途上であるいわゆるローカルエリアでも活用される可能性があるため、売上の底上げにもつながるかもしれませんね。


アリババが次に狙っているもの

上の方でも書きましたが、アリババは既存事業を淡々とやっているだけでなく、様々な分野に対しても投資を行ってきています。

アリババは、ここ2年間で有形固定資産への投資額が約6倍増加しました。

出典:アリババグループIR資料
出典:アリババグループIR資料

それに伴って固定資産も増加しました。

有形固定資産の増加を見てみると建物・施設・システム関連への投資が増加した額のほとんどを占めているようなので
恐らくニューリテールや物流プラットフォーム関係の施設、そしてクラウド関連の施設への投資
の強化を図っている段階ではないかと思われます。

さらに無形固定資産は270億人民元から680億人民元と増加した分は
「餓了麼(「Ele.me」)」(出前サービス)を運営する「上海拉扎斯信息科技」を子会社化したためのようです。

アリババが新たに、もしくは引き続き力を注いでいる分野は、

●クラウド

●ニューリテール関連

●配食(出前)サービス

上記に関連した事業へ特に資金を投入しているようです。

 

まとめ

中国で今一番期待されている「アリババグループ」。
規模も大きく、クラウドやニューリテール等、新たな取り組みも米国企業に負けずに伸び続けている企業だと思います。

でも、中国企業がどうしても国際的な主役になれないのは
中国企業には「○○の中国版」と言われる企業、サービスが非常に多く、主に米国で生まれたサービスの二番煎じ、もしくは中国国内版のような立ち位置までしかなれない、という点が中国企業が成長に見合う評価を国際的にされない要因なのかなぁと思います。

FacebookもLINEも中国国内では使えないんだから、そりゃ中国版の類似サービスを使うしかないですよね。テンセントのWechatやQQなんかも、正直ほぼパクリのサービスです。

私には今の中国企業は中国の人口が世界一だからこそ、国内需要で成り立っているように思えます。
中国発の新しいサービスがFacebookやAmazonのように世界を席巻する企業が現れて初めて国際的にも中国企業は割安に評価されていたと思う時がくるのではないかと思います。

今のままでは
将来訪れるであろう人口の減少とともに市場がそのまま縮小していき、結局は自国内の規模程度までしか大きくなれないと思われます。
米国以外の国のほとんどがそうなのかもしれませんが、グローバルに展開できないと長期保有株としては魅力が劣ります。

そう考えると、『やっぱり米国企業の開発力・マーケティング力ってすごい』と改めて感じさせられます。
先に述べたように、日本の将来に悲観的だから米国だけに投資するというのも、それはそれで米国集中投資なわけでリスク分散できてないように感じますが、今のところ、新サービスにしかりグローバル展開が上手な米国しか投資できそうな国ないよなぁと思いました。

ちなみに中国市場で結構な割合の時価総額を占めている各白酒メーカーも国内売上が9割以上ですし中国の人口減少で売上が下がっていく事は明らかです。

私も中国で仕事していた時に飲まされましたが、あんなの中国人以外飲まないんじゃないの、と思うほどです。
ましてや中国でも白酒離れが進んでいるというような話やESG投資の面から見てもあんなに度の強いお酒が対象にならないわけない、と感じます。


アリババの成長力や将来性はとても魅力的ですが、残念ながら中国企業への投資は現時点では全体的に見送りかなぁという感じです。

でも、調べてみて始めた知ったアリババの「ニューリテール」。
中国で実際に私は生活しているわけではないので、実感する事はできませんが、このニューリテールの進捗は今後もチェックしていった方が良さそうです。

アマゾンGOと多少被る要素もあるかもしれませんが
アマゾンの支配的ビジネスに対してエコシステムの活用を優先したアリババ
がどうやって拡大していくのか、今後がとても楽しみです。

もしかしたらニューリテールビジネスを制するのは、アマゾンではなくアリババかもしれません。

※投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。

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