バフェット銘柄ムーディーズ【MCO】の銘柄分析

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2大格付け会社の一角 ムーディーズ

ムーディーズはどんな会社

今回は先日読み返した「財務諸表を読む力」でやたらと登場した

ムーディーズ【MCO】

が気になったので調べてみる事にしました。

(※日本にも別のムーディーズがありますが投資に煩悩を与える企業なのでこの記事を読み終わったら調べてみてください。笑)


さてMCOと言えば、米国株個人投資家のPFの中に結構入っている割合が多い企業です。
そしてあのバフェット銘柄としても有名な米国企業ですね。

具体的に何を行っている企業なのかというと、皆さんご存知のS&Pと並び「格付け機関」という立場で格付け機関サービスを提供している企業になります。

米国の格付け会社と言えば「S&P」と、この「Moodys」ですね。

収入源としては、格付けして手数料等を得るビジネス。

同社の規模を見ても資本面で見ると参入障壁は低いですが、債券の信用度等を長年にわたって提供してきたため、一種の信頼性が同社のビジネスのブランドとなっています。
S&Pもそうですね。

が、この「信頼性」というのもリーマンショックの引き金にもなったサブプライムローンの格付け問題等もあり、S&Pも含んで同社は一時的に非難の目にさらされ、実際に2017年度にはそれらが原因となり約9億ドル規模の実損失も発生しました。

現在ではリーマンショックでガクッと下がった株価も約10年でおよそ10倍以上に跳ね上がり利益もしっかり積み上げ続けています。

どこまでが故意なのかわかりませんがあそこまで世界経済を混乱に陥れた要因のひとつでもある同社がここまで復活するとは、今思うと当時では想像できなかったと思います。

「そんな適当な格付けする会社なんてもう信用できるか!」

ってな感じになりそうなもんですけど、違うんですね。

まぁそんなわけで「格付け会社」という立場に立ち、様々な債券等を格付けしています。

その格付け業務がこれまでの同社を支えてきたビジネスとなりますが、同社の事業を大きく分けるとまず二つに分かれます。

Investers Service事業(MIS)とAnalitics事業(MA)

の二つとなりますが、
まずMIS事業については、信用格付け業務をメインに行っています。もう少し細かく分けると

・企業金融グループ
・ストラクチャードファイナンスグループ
・金融機関グループ
・公共
・プロジェクト
・インフラ金融
・その他

の7つのセグメントに細分化されます。


MA事業では、財務分析やリスク管理活動をサポートするサービス等を提供する事をメインに行われています。

・データおよび分析ビジネス
・エンタープライズリスクソリューション
・プロフェッショナルサービス

の3つに分かれています。


MA事業については比較的まだ新しい事業部門ですので伸び率についてはMISを超えています。

ちなみに事業別と細分化された事業別に分けてみると下記のような構成比になります。

構成比的にはこのような構成になっています。
売上の内容についてはこれから説明していきますので、さっそく業績について見てみます。

業績について

売上と売上成長率

まずは売上について見ていきます。
毎年、そこまで大きくはありませんが順調に売り上げを伸ばし続けています。
全体の年度ごとの業績はこのように推移しています。

ちなみに地域別の構成比を見てみると当たり前ですがアメリカが過半数を占めています。
数年前に比べるとEMEAとUSの割合が数パーセントほど動きますが大きくは変わっていません。

また2013年度と2018年度の部門別の業績を比較すると

【MIS事業】
売上成長率+32%

【MA事業】
売上成長率+91%

それによって各部門が占める売上の構成比も
【MIS事業】
売上構成比:70%→62%

【MA事業】
売上構成比:30%→38%

へと徐々に収入源の構造が変化してきました。

MA事業の構成比が増える事で同社の全体的な収支にどのような影響を与えるのか。

売上は着実に伸びていっているので、特に気になる利益の面について下記で見ていきましょう。

ムーディーズの収益構造

ムーディーズ全体で見るとこのような推移をしています。

営業利益は40%超え。純利益も20%後半が基本。
となっており、非常に収益性の高いビジネスを行っている事がよくわかります。

また、ここまで高い収益力を持っていると年々すこ~しずつ悪化していくか、横ばいがほとんどなのに同社の場合は利益率もまだ改善を続けているように見えます。

このような、いわゆる「ニッチなビジネス」は、利益率が高い事が多いです。

小数点以下は四捨五入しているので微妙にトータル金額が異なりますのでご了承ください


さて、上記の売上の部分で少し触れた「MA事業」が与える利益面への影響についてです。
上記の表を見てください。

実はMIS事業と比べると相対的に利益率が低いです。
MIS事業が約55%の営業利益に対して、直近のMA事業は約18%となっています。
(※それでも一般的に18%もあれば悪くない水準なんですけどね。)

これだとMA事業の売上が伸びる事によって全体としては利益率が下がるからどうなんだろう、と思うかもしれませんが
実はMIS事業の方では5年前と比較すると利益率が5ポイントほどアップしています。

2013年:50% → 2018年:55%

に改善しました。

正確には利益率が上がったというよりも2013年に発生した「訴訟和解費用」の影響がなくなった事により本来の水準に戻ったとするのが正しいようです。

これにかかった訴訟費用等が「SG&A費」に含まれているとして営業利益率を一時的に押し下げていました。

その影響がなくなったため
現在ではトータルで見た場合でも構成比の高いMISの利益率が貢献して、全体の利益率も4~5ポイント押し上げる結果
となります。

それを踏まえると利益額の増加については売上とほぼ比例して伸びていっているイメージとなるので、基本的には今後も売上が伸びれば同じ比率で利益も伸びていく可能性が高いと思ってもらえれば良いと思います。


またそれとは別件で2016~2017年の純利益が大きく下がっている年があります。
ですが、これも一時的な要因ですので後ほど説明をします。

EPSと配当金の推移

同社のEPS・配当ともに後ほど説明する一時的な要因を除くと毎年順調に推移しています。

2016年を除くと毎年安定して伸び続けていますね。
自社株買いも行いながらも、全体の利益も伸びているためとても理想的な伸び方です。

また配当性向も30%未満を維持しており、将来的な増配余地もまだまだ残されています。
当面は30%を目安に増配を行っていくものと思われるので業績が伸び続ける限りは配当も同じ比率で伸び続けると思います。

キャッシュフローの推移と企業買収


2017年の投資キャッシュフローが下に突き抜けているため見にくいですが、今回は特別に「投資CF」と「財務CF」も追加しました。

というのも2017年にムーディーズによる買収がありました。
買収先の企業は「ビューロー・ヴァン・ダイク」という企業。

この買収により発生した買収費用は諸経費を含む約35億ドルとされています。

2017年度に財務CFが増え、投資CFが減ったのは見てわかるように、借り入れたお金を企業買収費用の一部に充当したという事になります。

またバランスシートを見ると長期借入金が約30億ドルから約52億ドルに増えている事から長期借入金を買収費用に充てた事がわかります。

残りについてはキャッシュが2016年と比較して約10億ドル減っているので
【借入金7割:キャッシュ3割】
で買収したというような形になると思います。

それにより支払利息(Interest expense)も増えましたが、元々多くない上に今回の借入金によって増えた分を加えても年間営業利益の1割程度しかないため利益を大きく圧迫するほどの影響はありません。

また買収にキャッシュで支払ったため同社のキャッシュは約半分に減りました。
減りましたが、キャッシュフローを見てわかるように毎年10億ドル程度の現金が同社には入ってきます。

つまり1年たてばキャッシュもほぼ元通りに戻るという事です。
この事からも
今回の買収は今のところ財務面ではほとんど影響がない
と見て大丈夫だと思います。

さらにムーディーズの大株主はバフェット氏であり、同氏はこれまで企業買収によって利益を最大化する事を得意としてきました。

ビューロー・ヴァン・ダイクに競争優位性があったと判断できたため買収に至ったのだと思っていますので、今後どうなるのかとても楽しみですね。

【ビューロー・ヴァン・ダイク社とは】

世界3億社を超える企業情報を保有・分析をしている世界最大のデータベースが武器のオランダ企業。この買収によるMA事業への相乗効果はムーディーズにとっても非常に好影響を及ぼすのでは?と思われています。
 
 

リーマンショックの和解費用が2016年度に発生

2016年度には「和解費用」として8.6億ドルの損失を計上しました。

年間10億ドルを稼ぐ同社にとっては1年の利益でペイできるぐらいの和解費用なんてそんなに痛くないと思いますが。

2008年に起きた金融危機の際にサブプライムローンへの格付けをが正しかったか否かを調査されていた件で上記金額で和解した結果となります。

そのため営業利益はこれまでとほとんど変わらないものの上記の和解費用が2016年に計上された事でその年の純利益は大幅に悪化。

さらには2017年では、米国の税制改革等の影響もあり、通常時の約2倍の税金を支払う事になりました。

ただし、翌2018年度では法人税も通常レートに戻っており、EPSも順調に伸び続けているので今後の業績への問題はほぼないようですね。

まとめ

リーマンショック時では、この「格付け」が金融危機発生の要因の1つとなったので、同社株価の大幅な下落は避けられませんでした。

しかし不況到来の要因も色々あると思うので「格付け」が要因ではなく発生する場合もあります。

そのような点はよく市況も見る事が大事ですが
「まさか」という要因から金融危機が発生する事が常
だと思うので、まずは格付け上位の銘柄になにか異変があった場合は「あれ?」と思う事が自身の危機管理能力を助けるのかなと感じます。

そういう意味でも「格付け」は定期的にチェックしておいた方が良いのかもですね、私は今までほぼ見てませんでしたが。。。


さて、ここまでムーディーズの業績について調べてみました。
皆さんはどう感じたでしょうか?


私の場合、当初は利益率も非常に高く業績も毎年順調に伸びていっている。
そしてバフェット氏のお墨付き、という超優良銘柄だ!
という見方で調べていったのですが

「格付け」という点では利益相反問題を始め、いくら寡占化されていると言っても民間企業が発行体にお金をもらって格付けをするというのは、どうしても信用という面ではデータが重要視され、情報が個人でも簡単に手に入る今の世界ではいずれ不信感が高まり、行き詰るような気もしなくもありません。

さらに今では銀行での融資判断でもAI等を使用したり、完全なる第3者(機械?)がデータ等を元に正確に判断できる時代がもう来ています。

個人的にはいつになるかはわかりませんが
機械的にそして完全客観的に格付けされる時代が来るはず
だと思っているので
今後も長期的に存続し続けるか?という点では設立から既に100年以上を超えるムーディーズでさえもそんなに簡単ではないはずだと思っています。

投資対象としては
EPSも右肩上がり&年間平均成長率も10%程度な上に、配当性向も約30%とまだまだ増配の余地もある、非常に魅力的な銘柄
なのですが、現在の配当利回り1%以下でPERは30倍越えだとすると、少し高いかな、と思ってしまいます。

それに格付けといっても個人投資家から見たら最後の一押し程度に見るものであって(私は)そこまで重要性を感じないので

惜しいけど見送りかなぁ

という判断になりました。


業績・財務面は非常に魅力的。でもビジネスモデルの継続性にはちょっと疑問。

という感じです。あくまで私見ですが。

ん?でもよくよく考えてみるとムーディーズアナリティクスやこの間の買収(※ビューロー・ヴァン・ダイク買収)と言い、ムーディーズが格付けAIを作り出す可能性も十分にあるのかも。

そうなると恐らく開発後の運用次第では利益率もまだ上がるかもしれないし信頼度もまた伸びてくる。という素敵な未来もあるかもですね。

色々な見方ができるので、やっぱり将来を予測するのは難しいですね。

少なくとも「格付け」がこの世からなくなる事は株式や債券等の商品が存在する限り、同社がなくなる事もないはずです。

投資判断がとても微妙な所なのでPERが20倍程度に、もしなったら検討したいな~と思う銘柄でした。

※投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。

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