
割安が目立つプルデンシャル・ファイナンシャル
今回は連続増配年数が10年を越えた米保険会社
プルデンシャル・ファイナンシャル
について調べてみました。
日本でも外資系保険会社として特に比較的裕福層から人気の高い保険会社です。
同社の営業マンの多くはヘッドハンティングで引き抜かれた優秀な人材が多いと聞きます。
色々と賛否がある保険会社との見方も一部ではありますが企業レベルで見ると
米国の保険会社2位の実績をもつ保険会社の中でも規模も大きな優良企業の一社。
大きな影響を受けたリーマンショック以降の業績は比較的好調に推移しており過去10年間で見ると基本的には右肩上がりとなっています。
しかし世界経済の景気後退を警戒してか現在の株価は年初の急落時と同じ75~80ドル付近まで落ち込んでいます。
その結果、2015~2016年付近の水準まで株価の調整が進んでしまいました。
そのおかげで現在の利回りは5%程度まで上昇しました。
2017年頃には120ドルまで伸びていた株価はおよそ4割程度下落、それでも引き続き連続増配を更新したので利回りも急上昇しました。
現在のところ、世界経済の景気後退に向けて調整されていると見るのが自然でしょうか。
(ちなみにリーマンショックの時には株価は20ドルまで下がりました。)
今現在、高利回りとなっている同社は長期投資に向いているのか調べてみる事にしました。
事業内容
同社の事業内容は大きく分けて下記の4つの事業が主力になるようです。
・Retirement(退職所得関連)
・Individual Annuities(個人年金関連)
・Life Planner Operations(ライフプランナー事業)
基本的な事業としては生命保険や年金、退職関連のサービスを提供。一方で資産管理(PGIM)部門で投資機会を提供する金融サービスをメインに事業を行っています。
企業としても140年以上の長い歴史をもった世界最大級の老舗金融サービス機関です。
同社のHPによると世界40か国、5,000万人以上の顧客を抱えている世界的な企業として君臨していると言っていいでしょう。
ちなみに同社の地域別の売上についてはこのような内訳となっています。
・国外:44%
・PGIM(同社の資産運営部門の売上比率):13%
米国と国外の比率がおよそ同じ程度ですね。
日本でもご存知の通り「プルデンシャル生命保険」として事業展開を行っており、契約数・総資産ともに毎年順調に増加しています。
企業全体で見ても後ほど記載しますが外部要因によって赤字となる時期を除いては基本的には売上、利益ともに成長を続けています。
業績について
同社の場合は金融サービスを提供している企業であるため景気等の外部要因によって業績が大きく変わります。

こちらが過去10年間の業績ですが2008年はリーマンショックで赤字転落となっていますがここについては金融サービスを提供している企業である以上、赤字も仕方ない時期です。
しかし、その翌年には早くも黒字に戻しているので基盤となるビジネスモデルは安定していると見れそうです。
また2013年に赤字となっているのは急速な円安の影響等で赤字となりました。
この期間についてもイレギュラーと見ていいと思いますが外部要因にはやはり大きく影響される事がわかると思います。
そんな時期を除くと最近でも基本的に純利益はだいたい7~8%前後あたりが平均になると思います。
このように外部要因に大きく左右されるので一時的に業績が大きく下振れする時期があります。
その中で2018年では減益となりました。減益となった要因は何だったのでしょうか。

直近の2018年の業績については下げているのは決算書内で見ると「Policyholders’ benefits」の割合が大きく増加しました。
それによって利益が圧迫され利益率が下がった形となります。
Policyholders’ benefitsの増加は契約者の福利厚生面の増加の影響によるものだそうです。

しかし費用面の一般管理費にあたる「General and administrative expenses」を見てみると年々増加はしているものの、総費用対比で見て
2007年が30%程度でしたが2018年時点では20%に下がっている
のでいわゆる固定費にあたる同項目の割合の減少が進んでいる点は中・長期的に見ると良い流れだと思います。

営業キャッシュフローも右肩上がりとはいきませんが、10,000のラインを切ることもほとんどなく高水準です。
同時に投資キャッシュフローも平均15,000程度と営業キャッシュフローとおよそ同規模程度で推移しています。
金融サービスという事業形態のためキャッシュの動きが一般的な企業と異なるので難しい所もありますが現金、現金同等の資産は減っていないので問題なさそうです。
配当について
さて次に一番気になる配当金についてです。
まずはこちらをご覧ください。過去12年間のEPSと配当金の関係です。

配当金の基となる「EPS」
(リーマンショック時を除く)過去12年間のEPSを見ても配当金に対してはまだまだ余裕があります。
マイナスにはなりませんが毎年右肩上がりとはいかず、EPSはあまり安定はしていません。
しかし2012~2013年の時期を挟んでEPSの水準が高くなっている点は良いですね。
この傾向が続くのであれば非常に安心して見ていられます。
(純粋に景気が良いだけ、という可能性もなくはないかもしれませんが…)
「配当金・配当性向」について
リーマンショックの影響で赤字となった2008年には減配となりました。
しかしそれ以降は2013年の赤字の時も増配を行っているため、連続増配年数は10年を越えました。
同社の経営陣のコメントでは「減配は金融危機以外では行いたくない」旨のコメントをしており今後もよほどの事がない限り配当は続くと思われます。
ただし、気をつけないといけないのは何がなんでも減配しない、という姿勢でもないため、万が一減配を発表した場合はその要因をしっかり確認する事が必要になりますね。
配当性向についても2018年で38%ほどで、まだ余裕があります。
ちなみに同社の場合は自社株買いも利益が残る時は原則として行っている傾向があります。
その自社株買いの金額も配当金総額と同額程度で行われる事が多いので株主還元の面では非常に株主思いの企業だと思っています。
自社株買い分の金額も株主還元として考え、配当金と合わせてみると株価に対し10%の還元率となります。
まとめ
キャッシュフローが潤沢な企業を調べていた所「プルデンシャル・ファイナンシャル」が一際目立っていました。
・配当利回り5%超え
・PER10倍以下
という点が気になりました。
同社は配当利回りが5%を超えているにも関わらず、あまり高配当米国株投資家の保有株で見ないので、なぜだろうと思い調べてみました。
今回、素人ながらに調べてみた結果、
ものすごく良い条件で放置されている高配当米国株じゃない?
という結論に行き着きました。
(もう一度言いますがあくまで素人目線です)
もちろん金融サービス業という事で景気の影響をモロに受けてしまいますが
140年以上続く企業としての実績があって増配傾向で、しかも利回り5%の株価水準。
それに「生命保険」や「退職所得関連」のサービスは今後なくなる事は想像できない。
強いていうのであれば高齢化が急速に進む先進国で支払いが増え過ぎた時にどうなるのか不安もありますが現時点ではまだまだ大丈夫なのでは、と思っています。
よし!来月の購入株は「プルデンシャル・ファイナンシャル」で行こうかと真剣に悩んでみる事にします。
※投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。