
クラウドBIプラットフォーム DOMO
DOMOの事業とBIとは
今回はクラウドBIプラットフォームの
DOMO
について検証してみました。
早速ですが聞きなれない言葉が出てきました。
「BI(ビジネスインテリジェンス」
BIの意味について調べてみると
BI=ビジネス上で意思決定を行う事
だそうです。
という事はBIプラットフォームと言うと
「ビジネス上の意思決定を助けるツール」
という事になりますす。
それでは「意思決定を助ける」というのは意味でしょうか。
物事の判断を下す時に、材料や根拠がなければ正確な判断する事はできません。
しかし、その根拠をピックアップする作業が非常に時間がかかります。
あらゆる所に保存されたデータや各システムに散らばった資料を分析し適切な資料を基に、正確な判断を下さなくてはいけないです。
これは企業の経営者だけでなく全ての従業員にも時に必要とされる作業です。
企業の意思決定・行動は迅速に行わなければ、なおさら今の時代だとすぐに他社との差がついてしまいます。
この工程を助けてくれるツールというのが「BI」ツールという事になります。
具体的には、
・問題点を早期に発見する事で迅速な対策ができる(意思決定のスピードアップ)
そしてDOMOが特に力を入れているのが「モバイルBI」です。
これは、ビジネスには場所や時間を選ばずに迅速に判断しないといけない場面が多くあります。
そんな時にPCがないから資料がない、判断できない、資料作成の担当者がいない等のケースをなくすため、スマホ等のモバイル端末での資料作成→迅速な判断を支援しています。
そして、この業界には多くの競合が既に存在しています。
・マイクロソフトによる「PowerBI」
・グーグルによる「Google Data Studio」
・Tableau
・Looker(米スタートアップ企業)
その中でDOMOの優位性はどの程度あるのでしょうか。
このあたりの事業となるとサービス内容の良し悪しを判断するのはBI素人の私には非常に難しいので業績で見ていくしかないようです。
直近の業績
それでは次は直近の決算から業績を見てみます。
その前に事業内容が一番近い企業である「Tableau」の現在の業績も見ておきます。
(規模が違い過ぎるのであまり参考になりませんが…)
Tableau
【2019年度通期実績】
売上:$11億5,500万(+31%)
純損失:$△7,700万(+$1億)
売上総利益:10億1,200万(+32%)
売上総利益率:87%(変化なし)
営業経費:$11億(+15%)
NonGAAP純利益:$1億3,500万(+1億1,000万)
NonGAAP EPS:$1.56(+$1.29)
時価総額:$145億(2019.7.1時点)
次にDOMOがこんな感じです。
DOMO
【2019年度通期実績】
売上:$1億4,250万(+31%)
純損失:$1億5,430万(+2,200万)
売上総利益:$9,300万(+46%)
売上総利益率:65%(+7ポイント)
営業経費:$2億3,700万(+1%)
NonGAAP純損失:$△1億3,590万(+3,120万)
NonGAAP EPS:$△8.31(+$96)
時価総額:$7.5億(2019.7.1時点)
【2020年度通期予想】
売上:$1億7,300万~1億7,440万(+21%)
NonGAAP純損失:$△1億1,000万(+2,600万)
NonGAAP EPS:$△3.99~4.07(+$4.3)

どうでしょうか?
「Tableauの方が良いんじゃないの?」と思われた方も多いと思います。
確かに、Tableauの方がいいかも、です。
Tableauは先日、Salesforceに買収される事で合意したと発表がありました。
今後はSalesforceとタッグを組んでサービスの充実を図る事となりました。
買収価格も157億ドルでの巨額買収とBIツールに対する期待の大きさもうかがえます。
そして下からはここ最近、米国スタートアップを中心に導入が加速しているBIツール「Looker」
の突き上げに合う可能性もありそうです。
「Looker」はどちらかというとDOMOよりは専門的な知識が必要とされるようですが
より柔軟性があり、データアナリスト的にはとても使い勝手が良いのが人気の秘訣のようです。
さて、一旦DOMOの業績の話に戻ります。
DOMOの売上の81%がサブスクリプションによるものです。
四半期ごとの成長率のイメージをつかむためにグラフで視覚化してみました。
(売上は同社の成長のカギになるサブスクの売上で出しています。)

四半期ごとのサブスク収益の伸びはおよそ7~8%程度といった所でしょうか。
成長段階の企業としてはちょっと物足りない数字です。
顧客数の推移も把握したかったのですが調べても見つける事ができませんでした。
ちなみに地域別の売上構成比を見てみるとこのようになっています。
米国:74%(昨年79%)
日本:10%(昨年8%)
その他:16%(昨年13%)
米国以外の構成比が前年比で伸びてきていますね。
ちなみに単純に四半期8%増で推移していくと
Tableauの売上ラインまで到達するのに約6年かかる計算です。
6年間成長し続けるとも思えないので、やはりどこかで起爆剤が必要です。
直近で同社の事業になにか変化が起きる可能性がありそうな材料としていくつかピックアップしてみました。
(既に公表されているものなので真新しいものではありません。)
・2019年度のDomopalooza
(「Domo Marketing Suiteの導入」「機械学習の活用を促進する」「セキュリティ・ガバナンス強化」)
・AWS各種サービスとの連携
等がここ直近でありましたが大きく成長を加速させる材料になるかというと、そこまではないみたいです。
まとめ
今回、DOMOについて調べてみて感じた事は
競合が非常に多い
という事を一番強く感じました。
というのも、「BI」という名を知ったのもつい最近だったため新しいサービスかと思い検証してみましたが、
既に多くの企業でサービスを提供しており、数年後には早くも淘汰される企業が数社出てくるのではないか、というぐらいに既に広がりを見せていました。
ただ、競争は激しいものの市場規模はまだまだ拡大傾向にはありますので
どれだけ今後パイを取れるのか、という点がやはり重要なようです。
では、投資する人がどこを見たらいいかとツールの中身については専門でない投資家には
何が優れてるか、劣っているのか、等の判断が難しいといういのも正直な所です。
となると、指標になるのはやはり「顧客数・売上の成長率の推移」になると思います。
更にはDOMOの場合は黒字化まで行く着くのか、という懸念もあります。
売上(現状の成長力の場合)と営業経費の比較で見ると四半期ベースで黒字化するまで後2年かかる計算になります。

この2年の間にパイの取り合いが更に過酷な状況になった時に同じ成長率をキープできるのか、または四半期ベース8%増の成長率で大丈夫なのか、という懸念は結構大きいのかなと感じました。
それではまとめです。
四半期ベースの成長率が12%以上になったら買い
という事にします。
そうなるとこんな感じになるのかな、と思っています。

ただし同社の2020年度の通期予測を基に見ると
四半期ベースの成長率が4%で想定されている
(だから株価は下落傾向にあるようですね)
残念ながら「今のところ夢物語」みたいです。
【最後に】
投資は自己責任です。あくまで参考程度にお願いします。