
名刺管理サービス企業 Sansan
今、一番話題になっているであろう日本株「Sansan」。
上場前から注目を集めており、2019年6月19日に東証マザーズへ上場した同社ですが初日から初値の15%超えの水準で推移し最高のスタートダッシュを決めました。
思えばCMで昔から名前は聞いた事のある企業でしたが、何が要因でここまでの人気者になったのか。
「あれでしょ、名刺を共有するやつでしょ?」
ザックリ言えばCMのイメージからはこうなるのではないでしょうか?
ただ、それだと名刺を共有できるだけで時価総額1,500億円越え?!
という気持ちになると思います。
そこでしっかりと事業内容を今のうちに把握しておきましょう。
という事で今回は「Sansan」について調べてみました。
事業内容
まずは、同社の事業内容について改めて、しっかり確認してみましょう。
2007年に創業した同社の事業内容を一言で言うと
クラウド名刺管理サービス
やはり、上に書いた通り名刺を共有するサービスという事で間違いないのでしょうか。
同社の1本柱となるこの名刺管理サービスですが、法人と個人によって異なります。
法人向けが「Sansan」。 対して個人向けが「Eight」。
となっています。
同社によると、
という考えからサービスを提供し始めたみたいです。
「名刺を紙ベースからデジタル化…」と言えば、
最近検証してみた米国企業【ドキュサイン】も同じく「契約書を紙ベースからデジタル化…」した企業として拡大していますので参考までに…。
では、まずは一旦サービス内容について見ていくことにします。
法人向け 「Sansan」
「社内にある全ての名刺を集約しプラットフォームとして活用する」サービスです。
●AI名刺管理
AIと手入力によって名刺を正確にデータ化し、取引先の人事情報をデータとして共有できる機能
●同僚コラボレーション
同僚同士のメッセージ機能を主に社内の人脈を活用して部門を超えての連携を促進させる機能
●顧客データHub
AI技術を用いて、様々なMAツール等から自動的に顧客データを「名寄せ」して品質の高い顧客データを構築する機能
等の機能が提供されており、
ただクラウド上で名刺を管理・共有しているだけではないようです。(当たり前ですが…)
名刺管理サービスとしての
シェア率は82%、利用企業は約6,000社、月平均の解約率は1%以下
となっています。
多くの有名企業も利用しているサービスであり、名刺管理といったら「Sansan」という環境は既に出来上がっていると言えそうです。
個人向け 「Eight」
「名刺でつながる、ビジネスのためのSNS」というキャッチコピーで展開している個人向けの名刺管理サービス。
●「Sansan」と同じく、AIと手入力を組み合わせて正確にデータ化。
●相手の近況情報が届く。(相手が転職・昇進等で名刺を変更した場合)
●気軽なメッセージ機能
●自身をアピールするためのオンライン名刺の作成・活用
というような機能を「名刺アプリ」として提供しています。
Sansanは聞いたことがありましたがこちらはあまり聞かないですね、個人向けに簡略化したバージョンというような感じでしょうか。
ちなみにユーザー数は235万人と、意外に思った以上に多い印象でした。
ただし、実際に同社が提供している資料を見ると、
「今は企業向けを中心とした有料サービスの開発・展開に注力する」
という旨の記載があることからも個人向けサービスの優先順位はまだ高くない事がうかがえそうです。
このように同社は、
上記のサービスを軸として、他のあらゆるサービスと連携して将来的にはビジネスプラットフォームの中心になる
という事を念頭において事業を行っているようです。
という事はもしかしたら名刺管理サービスはあくまで入口であり、もっと幅広くビジネスをサポートしていく企業へと変革を遂げる時が来るのかもしれません。
現に名刺を共有するサービスから、他管理サービスも既に行っているため、これから事業内容ももっと広域な意味での「顧客管理」に変わっていきそうな気がしますね。
2019年5月期の業績予想
次は現時点での同社の業績について見ていきます。
まず、上場前に発表された2019年5月期の業績予想はこのように発表されています。
【2019年5月期業績予想】
売上高:100億円(前年比+37.5%)
営業利益:△9.4億円(前年比+21億円)
当期純損失:△9.9億円(前年比+21億円)
との発表を行っています。
また現時点の【第3四半期までの業績】が
売上高:73億円
営業利益:△6.5億円
当期純損失:△6.9億円
という業績内容で推移しています。
売上高の内訳については Sansan95% Eight5% となっており同社の収入源はほぼ「Sansan」の利用料収入(月額の基礎収入がメイン)で構成されています。
売上原価・費用等の内訳
原価や費用等のざっくりとした内訳も確認しておきましょう。
【2019年度3Qまでの内容】
●売上原価:11億円(売上総利益率84%) ※AIによりコスト削減進む
●販管費:68億円
・広告宣伝費:22億円 ※TVCMにより大規模投資
・人件費:17億円
・他費用:29億円
業績についてはまだ赤字企業ですが、前年30億円程度あった営業損失が今期は10億円以内に収まるという事で収益率は大きく改善されています。
前期については新規顧客獲得費用として今期よりも販促費を多め(約1.5倍程度)に投資していたようです。
同社の売上の推移は2014年5月期以降、前年比50%を超える驚異的な成長性を見せています。
今期は約40%程度の伸びに収まるように見えるもののIPOをきっかけに知名度・信頼度が向上し、再度高成長の波にのる可能性が非常に高いと言えると思います。
Sansan事業の売上の伸びを見ても毎四半期、プラス成長をしていますし1契約当たりの売上高も毎年向上(3年前と比較して60%もアップ)しています。
収益化に向けては非常に順調に進んでいっていると見えます。
ちなみに拡大の余地はこれから先どれほど残されているかというと、
と言われていますのでこれからスピードアップする可能性も十分ありそうです。
まとめ
まだまだ上場したばかりなので公表されていないような事も多少はあるとは思いますが、今回調べてみて感じた事は
「けっこう詳細まで公表していた」
という印象でした。
ここまで詳しく公表できるという事は逆を返すと、現状を評価してもらえれば高評価を得られるとの判断を基にした詳細公表という事ではないでしょうか。
確かにこれまでの業績の伸び方や収益化への流れ等を考慮すると、これからもまだまだ伸びる事業に間違いないだろうという感じがしました。
しかし、どうしても気になる点といえば
時価総額1,500億円超え
という点です。
ここについては例えば3年連続で成長率50%で推移した場合
(ざ~っくりの計算なのであまり当てにしないでください)
売上高:300億円
営業利益:100億円
純利益:70億円
となったらPERで約20~30倍の間になるのかなと思います。
しかし、この規模で年間50%の成長でよしとするのか、または売上総利益率を現状のまま維持できるのか等、数えきれないくらいの色んな可能性がありますので
あくまで「まとめ」として締めるために出してみた、という感覚で見ていただけたらと思います。
それを考慮して考えると
最初から長期で保有する覚悟があるなら買い!
ほぼ確実に長期で見たら損はしない!(はず)
という感じで締めさせていただきます。
ちなみに私個人的には、これから景気がどうなるかわからないので今のところは手を出さないでおこうと思っています。
ただ、時価総額が年内に1,000億円を切ったら長期覚悟で保有したいなとも思っています。