
下落トレンドから抜け出せない日本郵船
4月26日の決算発表&GW中の貿易摩擦激化の影響で5月に入って以降、売られ続けてきた「日本郵船」。
今年高値から約15%前後も下落しており、
チャートを見ると直近の底値であろう1,600円前後で下げ止まる傾向にあり
買い出動はそろそろかと見られている同社ですが果たして今は買い時なのか。
業績や市況から買っていいのか、悪いのか、確認してみました。
(ここは長期保有というよりも短期的な反発狙いとして見ていきます。)
同社を取り巻く市況
まずは、市況の面から見ていきましょう。
1番最大の下落要因はやはり「米中貿易摩擦」です。
もうこれはどの銘柄もそうですね。
関税の引き上げによる貿易量の減少に伴う貿易船の需要低下を悪材料視されています。
他の海運株大手も同じような動きで同社に限らず、というような状況です。
しかしながら、バルチック海運指数は5月前半の急落以降、順調に上昇を続けており海運株もこれに続くのではないかと推測しています。
バルチック海運指数とは
とは言っても貿易摩擦が解消されたわけではないため、なんらかのタイミングで同指数も調整が入る可能性はあります。
しかしながら、昨年の貿易摩擦勃発の初期段階から下げ続けているため、そろそろ反転に転じてもおかしくないような状況に感じます。

ちなみにここ3年間の業績はこんな感じですね。
確かに前期の落ち込みはちょっと厳しいですが利益率はそこまで悪化していない点と前期は色々とあった点を顧みると今期の回復もそこまで難しい物ではないかも、とも思います。
直近の決算
次は4月26日に発表された直近の決算内容を改めて見てみましょう。
2019.03通期実績
売上高:1兆8,293億( △ 16%)
経常利益: △ 20億(前期は280億)
最終利益: △ 445億(前期は201億)
2020.03通期予測
売上高:1兆7,300億( △ 5.4%)
経常利益:370億(前期は △ 20億)
最終利益:260億(前期は △ 445億)
2019.03期の決算は大きな減益となりましたが、当初の予測が-50億だったため予測に対しては上振れて着地しました。
また年間の配当も前期比2倍の40円に大幅増配すると発表がありました。
また、2020.03期の通期予測も再度黒字化になるとの発表はそこまでネガティブなものではなかったように感じています。
そもそも前期がそこまで赤字になった大きな要因はなんだったのでしょうか。
1番の要因は
・コンテナ船の傭船に関しての契約損失引当金繰入額(310億円)損失の計上
の影響が大きいためです。
将来発生することが見込まれるであろう上記の損失額を特別損失に計上した事が大きな要因になります。
事業の状態で見ると、完成自動車の荷動き想定越え、LNG船の順調な稼働により経常損益は上振れとなっており、事業自体の業績は前期の状態よりは良かったと言えそうです。
●定期船事業
売上高:2,863億(前期比△60%)
経常利益:△264億( 前期比△ 372億)
・燃料油価格の高騰が収支を圧迫も事業統合によるシナジー効果が貢献開始
・北米航路の運賃水準は好調に推移
・新事業会社の「ONE社」の売上高は含まれないため大幅減
●航空運送事業
売上高:567億(前期比△42%)
経常利益:△159億(前期比△177億)
・ボーイング747-8Fの8機のみ運航開始。輸送量は徐々に回復へ。
●物流事業
売上高:5,258億(前期比+2.6%)
経常利益:77億(前期比+53億)
・米中貿易摩擦への懸念による駆け込み出荷増加
●不定期専用船事業
売上高:8,413億(前期比+5.8%)
経常利益:337億(前期比+241億)
・トータルで見ると、完成車海上輸送台数は減少。
【ドライバルク部門】
・上期は荷動きが好調も、下期に中国向け鈍化による市況悪化。
・効率的な運航を実現するためのコスト削減による収支の向上を図る
【リキッド部門】
・大型タンカー:需給バランス改善。年後半から活発化。
・LPG船:米国→アジア向けの出荷量増加。安定的な収益を生む長期契約。
※ちなみに最近テレビ等で話題になっている客船事業(ワールドクルーズ)も好調ですが業績への貢献度は低いようです。
今期についての見通し
定期船事業と航空運送事業はそれぞれ前期の問題点解消による大幅な業績改善を見込んでいます。
ドライバルク部門とリキッド部門では市況の改善を2Q以降と見込んでおり、要は貿易摩擦の状況次第となりです。
ただし、私個人の見方では
やはり今の状況でいくと貿易摩擦による後半にかけての回復の見込みは低そうです。
ここについてはもしかすると下方へ修正があるかもしれません。
しかしながら、最近のトランプ大統領の発言を見ていると
中国に対し、さらに第4弾の関税攻撃をちらつかせるなど
なんとかして
中国から譲歩を引き出した上での貿易摩擦終結
を望んでいそうですね。
このまま中国を締め出せばいいだけなら第4弾までしなくていいですもんね。
ただし、中国も意地になってくる事も考えられますし国策を簡単に変えるとも思えませんので完全にチキンレースの境地に入っているような。
米国も影響ないと言っていますが、長期で見たらそんな事ありえないと思っています。
このまま続くようであれば、どこかのタイミングで一気に経済指標が悪化し世界経済が悪化。時すでに遅し。みたいな感じにならない事を祈ります。
まぁなったらなったで待ちに待った暴落(ボーナス)チャンスなので少しだけ期待もしています。
まとめ
話が少しそれてしまいましたが5月に入ってからの下落の原因は
来期の通期予測が貿易摩擦悪化のせいで達成できないのではないか
という懸念から生じた物だと思われます。
確かにその可能性は大いにあるとは思いますし、同社が行っている事業もそもそもそこまで利益が取れるような市場ではありません。
計画通りにいくのであればもちろん「買い」ではあると思いますが、下振れる可能性を考えると
とりあえずG20後のトランプ大統領の発言次第!
という事になるでしょう。(こればっかりな気がしますが…)
ちなみに私はここまで株価が下がってきたので来週あたりに一旦INしようと思っています。
G20前に手放すかどうかはその時に考えるとして
日足の移動平均乖離率も-5%付近にありますし、テクニカル的に反発はありそうなので小遣い稼ぎ程度にはいってみようと思います。